2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

出演者

目一杯後ろ髪を引かれながらある少女が帰っていった。今まで沢山の人が泊まっていったがダントツの最年少だ。小学4年生らしいが、隣の県からご両親に付いて来ているうちにすっかり薬局が気に入ってくれて、ついにお泊まりになった。我が家に幼い声がするの…

取材

僕に頼んでくるくらいだから、もう一巡してしまったのだろう。僕もそのメーカーの雑誌は愛読しているのだが、今まで年余に渡り取り上げられてきた薬局は実力があるところばかりだ。載せるべき薬局が尽きて、ほとほと困ったのだろうと言うと、ハッキリとそう…

悲哀

今月、偶然同じ人が時間外に2度薬局に薬を取りに来た。1度目は日曜日にお子さんの単純ヘルペスの薬。2回目は、夜閉店後にご自分の胃の痛み。時間外にシャッターを開けることは別に珍しいことではなく、しばしばあることだ。時間を選んで不調は起こっては…

受け皿

こんな田舎の薬局を頼ろうとする発想はないだろうから、接点は全く考えられないが、産後の鬱でマンションから飛び降りるようなことは本来漢方薬で防ぐことが出来る守備範囲の中だ。もしその有名人が牛窓の人なら今日も又楽しそうに赤ちゃんを抱いていただろ…

ミミズ

何を血迷って出てきたのか、それとも暑さに耐えきれなくなってパニくったあげくか、テニスコートは今ミミズの墓場だ。沢山の曲がりくねった線がコートの中にも外にも引かれている。そしてその線が果てたところには、周囲を砂で城壁のように高く囲まれたミミ…

どこも

「旦那が帰ってきたら臭くて息を止めていたんです」奥さんのその言葉を聞いて僕はああ完全に治ったと確信した。 旦那が治ったのではない。奥さんが治ったのだ。笑い顔を見たこともなく、笑い声を聞いたこともなく、いつも伏し目がちで、最低限こちらの質問に…

貧乏人根性

車外の温度を示す数字を甘く見ていたのかもしれない。そう言えば車内から眺める光景は、頭にタオルを置きその上から帽子をかぶる集団や、片手を額にかざし眉間に皺を寄せ口を開いている人達が多かった。時に勇敢に自転車を漕ぐ学生もいたが、その勇姿たるや…

物音

2つの物音について。 眠っていると頭の下で物音がした。頭の下で物音とは状況的にぴんと来ないかもしれないが、僕は冷気を求めて頭を網戸にくっつけて寝ているから、ほとんど路地に頭を出しているような状態で寝ている。だから路地の音はすべて頭の下なのだ…

女優

ゲゲゲの女房で少しはその世界のことが分かったのだが、漫画家の世界も一部の売れっ子以外は大変な世界なのだ。スポーツなど、いやあらゆる分野で言えることではあるのだが。 昨夜相談に来たお母さんも、そんな大変な世界に足を踏みいれている娘を持っている…

最悪の日々

あるお母さんへ 何も言ってこないのは困っていないから、これは貴女が息子さんに関して想いを致すときに似ていて、僕も貴女に関して同じ事を思っていました。昨日満を持して電話を頂いたのも、1学期を無事過ごすことが出来たことを喜び、もう大丈夫だろうと…

呼び込み

さて、明日からどの様にして時間を潰そうか。山に芝刈りに行くか、川に洗濯に行くか。それとも人生でやり残していること2つ(オートバイの免許を取ることと俳優になること)に挑戦しようか。それとももっと大きな夢を実現しようか。例えば政治家になって消…

外見

隣町からもう20年くらい通ってきてくれていると思う。最初は本人の漢方薬を作った。そのうち息子さんの漢方薬がもっぱらになり、今に至っている。僕は問診はするが立ち入ったことはほとんど尋ねない。だから20年のお付き合いでも体のこと以外はほとんど…

セット

夏休みの朝は、けたたましい蝉の鳴き声で起こされた。強い朝陽の差し込みとセットでラジオ体操に追いやられた。 1週間くらい前にクロネコヤマトの運転手さんが「今年は蝉が鳴かない」と言った。僕には夏休みとセットの記憶があるので、まだだろうと答えてい…

夕焼けクルージング納涼船

犬の散歩に少し出ていただけで、黒色のTシャツとジーパンを太陽が焼く。太陽に当たっている側だけが熱くなってくる。手のひらを返すように夏がやってきた。 前島フェリーのチラシを職員の方が持ってきた。僕の薬局は町外の方が多く来られるので宣伝に一役買…

僕も数年前に、母を連れて深夜高台に逃げたことがあるから、自然の恐ろしさは身をもって経験している。それでも尚紹介したい光景をテレビで目撃した。あの光景はいったい何だったのだろうと、昨日までとは一変して刺すような太陽の光に思わず瞼を閉じる今日…

同窓会

出来れば見せて欲しくなかった。「ワシはどうでもいいんじゃけれど」と言いながら持ってきてくれた写真には、嘗ての面影もない人達ばかりが30人ほど並んで写っていた。面影がないからほとんどの人が分からずに、数人の牛窓在住の人達だけ分かった。それも…

働き人

大きな会社のかなりのポストにある方の漢方薬を作った後、奥さんを含め雑談をした。そもそも僕の問診はほとんど雑談なのだが、難しい顔をして知識をひけらかせれば病気が治るものでもないし、そんなことをしたら僕の知識の無さが逆にばれてしまう。 その中で…

目的

NHKの朝のニュースで取り上げたから、いよいよかなと思う。もうずっと懸念してきたことだが、このところ漢方薬の値段が上がり続けている。原因は中国での乱獲による品不足と、中国の労働者の賃金が上がったこと、日本以外でも先進国で漢方薬の需要が出来…

京都旅行

ヤマト薬局様 いつもお世話になっております。先週また駅で臭いと怒られた気がして、先生にお電話した際に、「もうガス漏れはありえないと自分でもどこかで気づいているんだよね」と言われて、その通りだと思いました。あんなに強く信じて、医者が信じてくれ…

機関銃

以前にも書いたが、漢方薬や病院の薬を患者さんに渡していて思うのだが、揚げ足を取る人と心の中に敵がいる人は病気が治りにくい。もうすでに薬を出す時点で感じてしまう、この人には薬は効かないだろうなと。そしてそれがかなりの確率であたってしまうから…

見かけ倒れ

肩幅も、腕の太さも、太股の周囲も僕の倍はありそうだ。おまけに僕よりは10歳以上若い。ボディービルと空手で鍛えた彼が言うのだから、僕なんかは逆立ちしても出来ないのは当たり前だ。肉体の強さから言えば比べるのもおこがましいような人が思わず漏らし…

蜘蛛

蜘蛛まで馬鹿にしやがって。 蜘蛛の巣は当然獲物を捕るために張られるのだろうから、虫が多く通る場所に張らなければならない。その次に自分自身の安全も確保しなければならないから、天敵に見つかるところでもいけない。だから当然巨大な生き物である人間か…

耳鳴り

今日の文章は、ホームページの症例報告(病気の話)の方に書けばいい内容だが、単なる症例報告以上の内容も含んでいるのでブログの方に書く。 月曜日はいつになく混み合っていて、その夫婦には1時間くらい待ってもらった。紹介してくれた女性が、もう今日は…

子育て

これでは指導助言ではなく、嘆き節だ。だから場の雰囲気は一気に和んで、こちらも笑いの壺に陥りそうだった。 恒例の学校保健委員会が開催され、受け持ちの4校を2週間に渡って回る。今日は2校目だったのだが、出席の父兄も少なかったので和気藹々と言う雰…

図星

シャッターを開けると間もなく若いお母さんが小児用の浣腸を取りに来た。使い方が初めてらしいから説明していて、何となくどうして浣腸が必要なのか聞いてみたくなった。お子さんがお腹が痛いと訴えたので病院に連絡をすると、病院に来る必要はないから浣腸…

瞬間移動

羽が生えているのだから横着せずに飛び越えろって言いたいような光景だった。でもよく考えたら、遊び心一杯の雀なのかもしれない。 テニスコートのぐるりには当然ネットが張られている。何メートルあるのだろうか結構高くて、余程ホームランを打たない限りボ…

門戸開放

まだどう見てもお札の出し入れに難儀する年齢には見えないのだけれど、その女性はやたら時間をかけて財布にお釣りの千円札を数枚しまった。その間カウンター越しに僕はじっと待っていたのだが、妙な沈黙が流れたことを悟ってか女性が訳を教えてくれた。一枚…

欠点

色々迷ったあげく、358円のカツ丼を買って帰った。今食べ終わったところだがなかなか美味しいものだ。もうずいぶんと長い間、食堂のカツ丼を食べていないからどちらが美味しいのか分からないくらいだ。丁度店頭に並べられたばかりだったのか、容器がまだ…

田の神さあ

田の神様がなまって「田の神さあ」になったのだろう。鹿児島県の農村地帯にまるでお地蔵様のように石で出来た「田の神さあ」が奉られている。田圃の傍や農道の縁、家の庭などに奉られている。ユーモア溢れるものや個性的なものが多くてどこか統一性が無いよ…

飽き性

超飽き性の僕でも時々何故か続くものがある。このブログもひょっとしたらそのうちの一つかもしれない。元々は、薬剤師がお膳立てしてくれて、僕の薬を飲んでくれているまだ見ぬ人達に、僕や、栄町ヤマト薬局を少しでも理解してもらうためだった。唯一それだ…