2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

真骨頂

「今日は無理を言いに来たんだけれど」と言われると自然に構えてしまう。無理と分かっているなら来ないで欲しいのだが、薬局をよく利用してくれる人だから、そうは言っておれない。「聞けるものなら聞くけれど無理は無理よ」と当たり前の言葉を返す。 どんな…

能動

頭のすぐ上を飛んでいった鳥の羽音を初めて聞いた時、鳥は飛べるのではなく飛んでいることに気がついた。その気付きは僕には結構衝撃的だった。そうしてみると、魚は泳げるのではなく泳いでいるのだ。猿は木に登れるのではなく、登っているのだ。チータは速…

赤トンボ

雨がすべてを洗い落とした後の青空は、僅かな草むらを求めて乱舞する赤トンボの群に僕を近づけ、さわやかな風を頬に当てる。 幹線道路から路地裏に移った工事屋さん達は、今までの大きな重機から庭いじり程度の小さな機械に乗り換え、腹の出た脂ぎった体で器…

後始末

朝夕の散歩は、まず中学校の裏門から不法侵入して、体育館の前を通過してテニスコートに不法侵入する。こうした不法行為の連続で僕の健康は保たれているのだが、その僕でもそれはないだろうと思うことがある。 まず第一の不法行為場所の裏門についてだが、滑…

単純

こいつが出てきたら、1秒を争ってチャンネルを変えると言う奴はいっぱいいるのだが、この人が出ていたら見入ってしまうと言う人もいる。残念ながら「奴」は一杯いて「人」は極めてまれだ。ただこれは個人の単なる好き嫌いなのだが。 昨夜、見るに耐えれない…

どこにいたのか数羽のカラスがけたたましく頭上を飛んでいった。本来ならカラス達のお気に入りの夜間照明器具の上で一休みするのだが、そこには目もくれず飛んでいった。すると程なくピューピュルルーと鳶の鳴き声が聞こえた。見上げても飛んでいる姿は見え…

センチメンタル

「お疲れさまです」彼女のメールは毎回必ずこの言葉で始まった。僕は会社に勤めたことがないから集団で働いたことがない。だからこのような言葉でいたわられたことがない。メールをもらうたびに何となく連帯感みたいなものを感じていた。何の根拠もなく彼女…

枯葉

昨夜ふと回したチャンネルで、アフリカのある国では天気を表す言葉の中に晴れを意味するものがないと言っていた。日本ならさしずめ「今日はよく晴れて気持ちいいですね」とでも言うべき挨拶言葉がないのだそうだ。理由は毎日青空が広がっていてそのもの自体…

愚痴

「効いているのか効いていないのかさっぱりわからない」とため息をついたのは、もう2年以上痴呆症の薬を父親に代わって取りに来ている息子さんだ。本人はもう病院には行けないから息子さんだけが処方せんをもらいにいっている。たまには診察室に入らないと…

名字

この年齢の方のひいじいさんと言えば何時代を生きた人なのだろうか。明治の初期か江戸時代か。 隣町から漢方薬を取りに来る人の中で同じ名字の人達が結構いて、その方に「ご主人と同じ名字の人が結構来られるのだけれど、皆さん親類なの?」と尋ねてみた。結…

補欠

開演時間にずいぶんと遅れて会場に着いたのに彼は悠々と玄関でタバコを吹かしていた。「補欠なの?」これが僕の挨拶。嘗て何回も誘われているのに一度も足を運んでいないから、ついに義理立てしてやって来たのだが、当然送ってくるはずのチケットも送ってき…

焦燥感

元々礼儀正しい奥さんなのだが、何回もお礼を言ってくれた。それはご主人のパニック症状がほぼ完治したからではない。さっき恐らく最後の薬になるとご主人から嬉しい電話があった時、「こんなに自分が打たれ弱いとは思わなかった」と今回の自分を振り返って…

400円

「カゼ薬下さい、安いやつ」「どうしたの?」「昨日から下痢ばっかりするんです、安いやつ」「ムカムカはしないの?」「いや、ムカムカもします。出来るだけ安いやつ」 これだけ僕も安さに重点を置かれると不愉快になって「自分の安さと、僕の安さは違うかも…

北房

「北房へコスモスを見に行ったけれだまだ全然咲いていなかった」と初老の男性が言ったから、「どうしたの、わざわざ茎を見に行ったの?」と答えた。もっとも僕は北房がどの辺りか実は詳しく知らなくて、岡山県の北の方くらいの認識しかないし、コスモスと言…

大根

いやいや、まいったまいった。僕は原則として体に不調を持っていてその不調が痩せれば治る人以外は、いわゆるダイエットの薬は作らない。基本的には筋肉が落ちて、より不健康になるのがおちだから。 今日来た奥さんもそうだ。長い間見ないうちにずいぶんとま…

草木

いつもと違う光景には、例えそれが些細なものでも目がいく。敵を察する動物としての本能かどうか分からないが、とても敵にはなり得ないものの変化にも気づいてしまう。 こんな所にも花が咲くのかと、いくつもの気付きを今朝もした。やっと秋の気配を感じるこ…

浄化

目を疑った、目を見開いた、目を凝らした、そのどれもが当てはまり、そのどれもを交互に、あるいは同時にやっていたに違いない。こんな事が実際にあるのだと、とても珍しい光景に遭遇して得した気分だ。 パソコンに向かっているときに1人の女性が入ってきた…

加川良

入り口から一歩入ったところで立ち止まり、じっと僕の顔を見て、にやっと笑った。この手の仕草は誰もが思惑は同じで、「さああててごらん誰だったかな」と言っているのと同じだ。その手の誘いに容易に乗ってしまう僕はさて誰だったかなとすぐ考え始めた。一…

子供手当

「電話終わった後、なんだかすごく変わったんだなと言う実感が出てきました。とても自然な流れで、薬を変えても大丈夫と言ったけど、先生の薬にしがみついてるような前の自分では考えられないことでした。毎日考えることはお腹の心配ばっかりだったし、今思…

逃避行

どうして浜っ子の女性のジーパンが破れていたら格好良くて、僕のが破れていたら「奥さんに買ってもらったら」と同情を引くのだろう。僕は本来都会向きなのだろうか。 真面目で几帳面、きれい好きでコツコツ型、恥ずかしがり屋で怖がり、心配性で人の気持ちを…

千鳥足

掃除道具を取りに行くために裏の事務所の戸を開けると駐車場に5,6人の男性が座り込んでいた。僕は一瞬多くのツバメがいるような錯覚に陥った。と言うのも、その駐車場は建物の1階部分を柱だけにして外部としきりのない空間にしているのだ。その為に夏は…

共通点

行きは 飛行機の到着時刻ですが、岡山空港に9:00に到着予定です。 岡山空港 9:20(9:10)出発 (リムジンバス) → 岡山駅 9:50(9:40)到着 岡山駅 10:25(9:55)出発 (JR)→ 邑久駅10:50(10:20)到着 邑久駅からタクシーを利用する予定です。 帰…

凶暴

ついに出た、夏にこの言葉。さすがにこの暑さは誰にとっても尋常ではなく、虫にだってあたりたくなるのだろうか。 冬、薬局の中で良く耳にする言葉に「今年の風邪はきつい」と言うのがある。その後に、高い熱が続くとか、咳がなかなか収まらないとか、鼻汁が…

フリル

僕が着ているTシャツの襟のあたりがもうずいぶんとくたびれてよれよれになって波打っている。長く着たからなのか、元々安物でこうなるのか分からないが、恐らくどちらもあたっているのだろう。ある男性がそれに気がついて「もうそろそろ奥さんに買ってもら…

機関車

確かに僕の漢方薬の狙い通りの変化なのだが、あながち薬だけではなく、この猛暑による仕事への追い風の方がもっと効いたような気がする。 田舎で商売を継続させるのは、いや、都会でも同じ事かもしれないが、なかなか大変な時代だ。多くの店が止めていく中で…

安全運転

日曜日の朝、寝坊が目を覚ましてやっと行動する頃、10台以上のオートバイが国道を南下していた。左端を1列とはいかないが2車線道路をすべて占有するような走り方ではなかった。僕の車が追いついたのだからそれほどスピードを出しているわけでもない。た…

捨て石

自慢するものがなければ何でもネタにするのは、最近の最高気温合戦を見ていても分かる。多治見や熊谷の人達のインタビューを見ていると、一種の快感が伝わってくる。どちらも地方都市らしくて、登場する人達の表情がとてもいい。照れながらの自慢ぶり、居直…

進学校

あるお母さんに返信したメールの中で「何もしないことより、無理をして背伸びしてしまった方が悲劇的な青春を送ってしまう危険性をはらんでいる」と伝えた。頑張らなければ生きていけない時代、それを幼いときから当然のように目撃している時代には、叱咤激…

初盆

酪農業を営んでいる男性が薬を取りに来たとき妻が応対した。9月に入っても猛暑日が続いているから当然挨拶は「毎日暑いですね」が定番だ。妻は相手の職業を知ってか知らないでか朝から晩まで繰り返している挨拶をしたまでのことだ。ところがその男性は「こ…

運動場

テニスコートから中学校の運動場は、体育館や倉庫に邪魔されて断片的にしか見通すことはできない。だから例えば人がグランドをトラックに沿って走っていても断片的にしか見ることは出来ない。 この夏何度か同じ光景を早朝見た。誰かが何かを叫んでいるような…