2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

逆行

ある試算によると、東北地方の米作り農家の時間給は330円だそうだ。経済市場主義の煽りで、米の価格も下がりつづけ、30年前の値段にもどったらしい。販売額から費用を差し引いたら赤字になる。手間隙かけて、太陽に焼かれ、雨に打たれて働いた挙句が、…

栄華

昔の栄華をいつまでも引き摺って生きている人がいる。いや、引き摺らなければ生きていけないのかもしれない。もし拠り所が過去にしかないのなら、それも他者にとって記憶の彼方なら、なんとも憐れだ。それこそ昭和の初期、地主金持ちが我が物顔で暮らして行…

廊下

悲しみが廊下を往来していた。日曜日だから、家族の面会が多いのだろう。重たい冬服を着ていても見舞い客は自由に歩けるし、笑いも出来る。シャバの空気を運んでも、浸透圧の通りには拡散しない。点滴に縛られた人がやせこけた足で面会に現れる。缶コーヒー…

帰っていった若き友人

帰っていった若き友人へ 貴女は気付いていないと思うが、実は今日3度、僕は涙を流したのです。教会で貴女の真後ろに席を取り、貴女の希望通り、貴女のガス漏れを確認しながら神父様の説教を聞いていたとき。神父様が「人生には沢山の苦難がある。苦しいこと…

短縮

インフルエンザの治療を受けた女子中学生が、マンションから転落死した。同じようなニュースが繰り返される。インフルエンザなんて昔からあるのだから、解熱剤を飲んで、栄養剤を飲んで寝ていればいずれ治ると思うのだが、現代人は(患者?医者?製薬メーカ…

若き友人へ

若き友人へ 知性は溢れなくてもいい ジーンズの後ろポケットに 斜めに入っていればいい 咲き急ぐ季節を追いかけて 肯定の前線が鞭のようにしなる こだわりのさえずりに 立ち止まった海流 今日という日が変わる予感 真心は触れなくてもいい そっとハンカチで…

残飯

この田舎には勿論ないし、都市部に出ていって利用もしたことがないから、僕には分からないのだが、ネットカフェを宿泊所替わりに利用している人が多いらしい。1時間100円、パソコン1台と椅子があるだけで、1枚の板とカーテンで仕切られているらしい。コイン…

事情

突然の家庭の事情で大学を辞めた子がいる。わずか2年前には考えられなかった経済的な事情によるらしい。最近では決して珍しいことではないらしい。薬局内で聞いた話だ。僕らの時代だったら、やめずにバイトしながら卒業すればいいではないかと思うのだが、…

アザレア

あるメーカーが、サービス用としてアザレアの鉢を60本用意してくれた。今週の月曜日からある基準にしたがって配っている。薬局内のガラステーブルの上に十数鉢、常に並べているが、とてもきれいだ。暖房が効いていることと、蛍光灯で常に照らされているせい…

死界

いくつもの駅の構内を歩き、いくつもの地下道を横切り、いくつものビルの下を歩いた。いつも視界は遮られ、手を伸ばせば物に簡単に触ることが出来る。電車が高架橋を走る時、視界は広がるように思うが、やはり目にするのは、ビルの横腹だ。無機質に並んで人…

いい訳

先月、尼崎に行った時は、3時間睡眠で行った。今回は行き方がわかったので4時間寝てから行った。不安材料は腰だから、鎮痛剤と筋肉弛緩剤を飲んで行った。ゆっくり本が読めるから敢えてこだまを選んだ。缶コーヒーを明石あたりで飲んだ頃一瞬ムカツとして、…

農夫

今日、T薬剤師は早引きして、大学の教授の退官パーティーに行った。8歳の年令差か、資質の違いか分からないが、僕にとっては理解できない行動だ。いや、僕ら世代と言ったほうがよいかもしれない。僕にとっての大学は、自分が書いた教科書を棒読みする教授…

途中

隣の町から相談に来てくれたその女性が、僕の漢方薬で症状が軽減されたら是非言いたいことがあった。初めて相談に来てくれたとき、応対中僕はとても心地よかったのだ。その理由は自分でもすぐに分かった。笑顔がとてもいいのだ。と言うより、もし笑い方と言…

重力

月曜日(祭日)、いくつものことをこなそうとして岡山の街を走った。走ることによって、どれだけの時間を節約できたのか分からないが、気持ちだけ得をしたのだろうか。滞りなく予定を消化できたのは僕の脚力のお蔭か、はたまた穏やかな陽気が時間の歩みを遅…

メル友募集

関東地方に住む40歳を少し回った女性が過敏性腸症候群で苦しんでいる。12月から僕は薬を送っている。今日彼女が薬の注文のメールをくれた時、同じような症状で苦しんでいる人とメール交換をしたいと言ってきた。薬局は守秘義務が厳しく問われる職業なの…

点呼

1年に1度、足を運ぶかどうかくらいだからあまり偉そうなことは言えないが、昨日行った散髪屋さんの挨拶?には閉口した。以前行っていた美容院もそうだったが、いちいち動作をはじめる前に、店内にいる全員が同じことを合唱する。思い出せるかどうか分から…

先輩

こんなに長く生きているのに、実は心を許せる友人はたった二人しかいない。友人と呼ぶのはふさわしくないかもしれない。正しく言えば先輩なのだ。二人とも大学の1年先輩で、一人は1歳年上で一人は同い年だ。彼らは二人とも留年したので、一時期は同級生だっ…

道具

今日、ある人を見舞いに岡大病院に行った。1階にコーヒーとケーキのお店があった。どこかで名前を聞いた事があるし、そのよい香り、スタッフの洗練された動作などで、本格的なコーヒーとケーキを売る店だと分かる。壁に張り付いた狭いカウンターの中で3人…

癒し

コーヒー1杯の値段のどれくらいが生産者に渡っているのだろう。もし日本で300円のコーヒーを飲んだら、いくらがコーヒー豆の生産者に渡っているのだろう。あるデーターによるとわずか1%だそうだ。300円のコーヒーの値段のうち3円が生産者に渡って…

恵み

「あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないものはなかったはずです。・・・試練とともに、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えてくださいます」使途パウロの言葉だそうだ。 耐えられないほどの苦しみはあっても、今こうして生活しているから耐…

勇気

今日ある青年から、会議での自己紹介がどうにか出来たと電話で連絡があった。わざわざそれだけのことを報告してくれたのだが、電話口の向こうから、やり遂げた安堵感がよく伝わってきた。イベントに対処するにも、その時の気力、体力によって大きくアプロー…

遅配

夢はいつ捨てたのだろう。目標はいつなくなったのだろう。その日その日を精一杯生きることで、明日は考えなかった。明日は必ずくるものではあったが、明日すべき事より今すべきことを優先した。手持ち時間は着々と減っているから、決局明日は今日に勝る存在…

事実

この話は、本人の承諾を得ている。過敏性腸症候群、とくにガス型の人は読んで一考して欲しい。 甲信越地方から一人の青年が訪ねてきてくれた。彼は小学生からのガス型だから16年の病歴(?)だ。中学高校と気がつかないうちにガスが出てしまい、陰口を言わ…

土手は 葬儀場と少年野球を分けていた 黒い花輪は亡くした肉体の重さを測り 白球を追いかける歓声を聞いていた 昼下がりの土手は 南に下る葬送の うなだれた季節を冬に戻してた 向こう岸に渡った男が一人 煙突から噴出される嗚咽の煙 渡るに渡れぬ朽ちた小船…

血色

今朝、7時半に家を出て、5ヶ所で5つのことをこなしてきた。その中のある場所での出来事。 数分前に僕を含めた数人と立ち話をしていた若い女性が、少し離れたところで気分が悪くなったらしくて、年配女性数人に抱えられるようにしてある部屋に運ばれるのを…

不買運動

あるある何とかと言う番組で、データの捏造があった。僕は偶然チャンネルを合わせた以外見た事がないが、健康お宅、いや、病気恐怖症の人に支持されている番組のような印象を持っていた。昼に放送されている、みのなんとかと言う下品な司会者がやっているは…

ボールペン

僕には捨てれないものがある。2色、或いは3色ボールペンの赤色の芯だ。複数色のボールペンは、赤色以外を使うことが圧倒的だ。その為に軒並み赤色ばっかりが残る。薬局は製薬会社からボールペンを毎日のように頂くから、文房具店なみにたまっていく。忙し…

子守唄

現役をすでに引退している夫婦が、ある日、お墓参りに行った。お墓についてみるときれいに草が刈られていた。自分たち以外にお墓を掃除する人はいないから不思議に思っていたらしいが、ある日判明した。二人には息子さんがいて最近結婚した。赤ちゃんも出来…