2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

相手をしてくれる人がこの町にいないのか、しばしば薬局にやってくる。その都度コーヒーなどでもてなすのだが、もてなし過ぎかやってくるのが頻繁になった。ただ人目をはばからざるを得ないのか、患者さんがいたら入ってこないし、くつろいでいても患者さん…

自尊心

全く自分の意志に反して帰国を強いられた女性が、一念発起して再来日し日本の大学に入学した。日本にいる間に働き貯めたお金で国に帰り日本語学校で学び、念願かなって日本の大学に入れた。勿論、入学までのお金は蓄えていたのだろうが、その後の授業料や生…

何種類かの薬を出して徴収するお金が、200円台とか300円台では気が抜ける。何か不自然だなとレジを打つ度に思っていたが、患者さん自体もやはり不自然さを感じているみたいだ。特に元々僕の薬局を利用してくれていた人達に同じ感想を持っている人が多…

あまちゃん

今年一番耳に残った言葉だ。なるほどなと感心した。決して洗練された言い回しではないが、緻密に用意されたことは容易に想像がつく。 夏ばあさんが、春子が再び出ていくときにかけた言葉だ。寂しいだろうと娘に言われ夏ばあさんは「大丈夫だ、一人暮らしには…

無邪気

福島第1原発の敷地内から海へ放射性物質を含む地下水が流出している問題で、東京電力は27日、汚染水の漏えい源とみられる敷地海側のトレンチ(地下の配管用トンネル)にたまっている水から、1リットル当たり23億5000万ベクレルの高濃度で放射性セ…

今日僕は姥捨て山をした。妻がとてもうまく母を施設まで連れて行ってくれた。道中も施設に着いてからも、楽しそうな母の様子を聞いてホットした。どのくらい分かっていたのか、どのくらい分かっていなかったのか知らないが、恐らく進行している出来事の1割…

臑に疵

「診察が止まってしまう」なるほど、それは彼らにとっては大変なことなんだと思った。 偶然息子が帰ってきたから、過敏性腸症候群の漢方薬を取りに来ていた親子の相談に乗るように頼んでみた。普段は疲れて帰ってくるから仕事の話は一切しないように心がけて…

助言

やはり抵抗はある。一般論から言えば正しいのだろうが、まだ大人になりきっていない子を、患者扱いにはしたくない。抗ウツ薬や安定剤なるものが本当に必要なのかと思ってしまう。紹介した本人もまさかそんな結果を望んではいないだろうが、自分が引き受ける…

さりげなく

別にそれを目的に作ったのではないが、ある不快症状を治すための漢方薬を2週間飲んでもらったら、病院の睡眠薬と安定剤がいらなくなったと言って喜んでくれた。 そもそも問診(僕はそんな大袈裟なことはしないから雑談と言った方がいいかもしれない)をして…

消費者

「大腸癌に新たな選択肢」と銘打った資料が届いたから読んでみたが、何故か腑に落ちない。専門的な資料を読み解くことは出来ないが、分かりやすく書いてくれているからおおむね理解は出来ていると思う。 進行性、あるいは再発大腸癌に対してある薬が抗腫瘍効…

目撃

妻がいなくて良かった。その光景を見たらやっておれないだろうから。 恐らくもう少し日が経てば、娘であることも分からなくなるかもしれないと思い、姉に母親に会いに来るように誘った。どのくらい会っていないのか忘れたが、勿論電話などでは話しているから…

愛情

一昨日の昼から喉が痛くなったらしいが、昨日の朝息子が薬をもらうよといって調剤室に入り、抗生物質などを探していたから、風邪をひいたのだと分かった。何でも病院で流行っていて何人かのスタッフが喉痛と咳を訴えているらしい。 その日は仕事が昼からだっ…

ブレーキ

僕は素人だから、敢えて考えることもなかったが、ただ漠然と「その後を見せてやればいいのに」といつも思っていた。そうしたら自分がやったことの罪深さが理解できるのではと思っていた。 そんな事件が西の県であった。その街には、知り合いの薬局もあるし、…

紙一重

佐竹徳画伯と言えば、知る人ぞ知るオリーブの画家で、牛窓に住みついて100歳で亡くなった人だ。瀬戸内市民美術館で画伯から寄付された80点が常時展示されている。なんてほとんど作品を見たことがない、又歩いて3分のところにある美術館にも行ったこと…

精算

カロリーの摂りすぎの人がかかりやすい皮膚病の相談に来た人に「甘いものばかり食べているのではないの?」と尋ねそうになったが、顔を見た瞬間その質問を取りやめた。「こればっかりいっているのではないの?」と酒を飲む仕草を真似て尋ねてみたら「酒は2…

酪農

僕もよく働いてきたとは思うが、僕以上がいた。 何の話からその様になったのか忘れたが、その人は印象深いことを言った。「もう何年も岡山には行っていない」と。この辺りの人ならこのことばの持つ意味が分かると思う。大都会の人なら、隣の区に行ったことが…

あるわあるわ、出てくるわ出てくるわ、90歳過ぎの老婆が一人で住んでいた家とは思えないくらい物が出てくる。 決して贅沢などとは無縁の母だから、物など無いと思っていた。物が散らかっているのが耐えられない人だから、買い集めないと思っていた。確かに…

解放

「何を食べられたかは分かるんでしょう?」「数分したら分からないでしょう」「それでもご飯を食べたかどうかは分かるんでしょう?」「数分したら覚えていないでしょう」プロとしたらその辺りでもう想像がつくのかもしれない。ひょっとしたらその質問は判定…

富士山

別に世界遺産に登録されたから見たいのではない。めったに見れないから見たいだけだ。 余程運が悪いのか、そもそもそんなものか分からないが、新幹線から富士山が見えたことは数回しかない。二軍に落とされそうなプロ野球選手の打率並だ。滅多に見えないから…

天職

これは明らかにお母さんの忍耐勝ち。良くお嬢さんを救ってあげたと思う。 起立性調節障害で病院から出される薬は主に昇圧剤や安定剤だ。医師がだらしなさに目をやりすぎると、社会不安障害か何かと勘違いして抗ウツ薬がでたりする。そんな治療がいやで、いや…

体験

「京都府立医科大による血圧降下剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験をめぐる問題で、投薬を受けた患者の血圧などのデータについて、医師が入力したデータと、実際の解析に使われたデータに食い違いがあることが同大学の調査で11日、分かった。…

漂白

口を揃えて「勉強したい」と言うかの国の若い女性の中で、すでにしてきた女性が一人だけいる。通訳という仕事を得ているから大学にはいっていたのだろう。そこで彼女に確かめてみた。「○○さん、良く大学に行けたね?お家がお金持ちだったの?」と単刀直入に…

「餅は餅屋、水は水道屋」、こんな諺があったかどうか分からないが、やはり水についての相談は水道屋さんに限る。 処方せんを持ってきた男性は水道屋さんに勤めている。もうずっと同じ内容の処方箋だから薬についての話はしない。雑談をして帰っていくのだが…

同義語

もう70歳を過ぎているから、顔つきほどは厳つくない。笑えばまだ可愛い顔になるのだけれど、大工だからなかなか職人気質は抜けず、しかめっ面を得意とする。そんな男性が病院の処方箋を持ってやって来た。そんな彼も娘に応対して貰って、緊張しているのか…

地引き網

最早我が家の年中行事になったツバメを守る会も、やっと今年のお勤めを終えた。一昨日無事雛たちが巣立った。 去年成功したカラス撃退法がまんまと今年は見破られて、1回目の雛は孵らなかった。無惨に巣を破壊され、散乱した卵の殻を見て、娘がある手段を思…

満点

もし許されるなら外国人のように抱きしめて、その孝行ぶりの全てに満点をつけられることを示したかったが、ここは東洋の国だし、相手が立派な大人だから許されない。突然の涙の知らせに戸惑ったが、恐らく他の人では出来ないだろう自然な接し方で愛情の全て…

雑談

本人も気がついているとは知らなかったが、この女性はストレスが溜まると片方のまぶたが閉じる。薬局に入ってきたときからそれで心の平安の程度が量れる。今日はしっかり閉じていたからストレスは溜まっている。ほとんど閉じているから、「それでも見えるの…

基準値

「90歳を過ぎてこの検査値は異常だろう!」嬉しそうに親の検査値を見せてくれたのに、僕の反応がこれでは嬉しさ半減だろうか。ただ90歳を過ぎてこの正常振りは異常だ。 かなり検査項目があったから医院の簡単なものではないようだ。何か病気を持っている…

「台所で料理をしているときについ涙が溢れてくるんです」だから頭がおかしくなったんだろうかと心配になってきてくれたのだが、おかしくなったどころか、正常も正常、誰もが鏡にしたいような人物だ。 その人の苦労と言うべきものは、僕の100倍?1000…

立ち話

今朝自分としてはとても珍しい経験をした。職業柄毎日多くの人と会話しているが、そのほとんどは目的を持ってしている。ところが今朝5時頃から延々1時間の立ち話は何の目的もなかった。 隣の駐車場は時々持ち主の会社が草刈りをするが、その後は山際に刈っ…