消費者

 「大腸癌に新たな選択肢」と銘打った資料が届いたから読んでみたが、何故か腑に落ちない。専門的な資料を読み解くことは出来ないが、分かりやすく書いてくれているからおおむね理解は出来ていると思う。  進行性、あるいは再発大腸癌に対してある薬が抗腫瘍効果を示すというものなのだが、その効果たるや、全生存期間が6.4ヶ月だったというのだ。比較のために、その薬を使用しなかった人達は5.0ヶ月だったと言うから僅か1.4ヶ月しか違わない。そして驚くべき事にその薬の値段が1日分2万円するらしいから、製薬会社は笑いが止まらないだろう。副作用は例の癌治療に付き物の手足症候群(手足や指先、足底などの四肢末端部に、しびれ、皮膚知覚過敏、ヒリヒリ感・チクチク感、発赤、色素沈着、腫脹等があらわれる。 重篤になると、湿性落屑、潰瘍、水疱、強い痛みがあらわれ、歩行障害、ものがつかめないなど日常生活を遂行できなくなることもある)がおよそ50%の人に、疲労も50%、高血圧30%、下痢30%、皮膚病25%とその後に続く。僅か40日くらいを、それも副作用と戦いながら生き延びるために余分に100万円ほど使うわけだ。恐らく副作用を防ぐと称して色々な薬剤がついてくるから実際にはそれだけではすまないだろう。癌はやはり金のなる木なのだ。誰もが枯れるように亡くなる手伝いを医療がすれば、もっと死は救いになり、受け入れやすいものになるだろうに。ああ、でもそれでは経済にとってはマイナスか。最後の最後まで消費者でいてくれなければ困るのか。