2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

物差し

僕らがすごした青年時代の影響か、僕らは特殊なものさしを持っている。その物差しはなかなか変らない。ずっとこだわり続けてもっている。そのものさしのお蔭で今があるのだろうが、そのものさしのせいで失ったものもある。往々にして目は失った物ばかりにい…

今日、ある町で開局した薬局を探す為に1時間半くらい歩き回った。およその見当はついていたので車でその辺りまで行ったのだが、幹線道路らしきものを走りまわってもそれらしきものが見つからなかった。車を置いて住宅地の中の狭い道路を歩き回った。1歩足を…

婦人会

昔婦人会の役員をしていた人達が、同窓会をしようと集まったらしい。母がその連絡を受けたのは前日のことだ。日程は以前から決まっていたのだが母に連絡をくれる人が忘れていたらしい。その朝、ある参加者が母に5回くらい電話をしてきた。10時と何度も教え…

心を患っている人は、見えない敵と戦っているようなものだ。勝機はなかなか来ない。何がこんなに多くの人を追い詰めているのか分からないが、心を病む人はとても多い。泣き叫び助けを求めることが出来れば深みにはまらなくてすむのだが、そうした人達はえて…

右手に良心、左手に悪意、右手に勇気、左手に臆病、右手に信頼、左手に裏切り、右手に成功、左手に挫折、右手に愛、左手に無視、右手に平等、左手に差別、右手に希望、左手に失望。僕は右利きだが、いつも左手の方が勝っていたように思う。よりよく生き様と…

欺瞞

その心の傷に触ってしまい良かったのかと今でも考えている。 病院で処方された安定剤をもう何年も取りに来ている人がいる。病院の患者さんだから僕は基本的には立ち入らないことにしている。副作用もなく飲んでくれればそれでいいのだ。いつも無口な人だが、…

忘れ物

インターネットで調べたら、その日は丁度先輩はその地区の休日当番医らしい。これでまず計画はうまく行く。はるばる新幹線でいき、いないから帰るではすまされる距離ではない。もうどのくらい会っていないのか実は分からない。10年かもしれないし、その倍…

ぬいぐるみ

今日から1週間、お遊びでくじ引きをしている。70才代の女性がくじでパンダのぬいぐるみを当てた。結構大きいぬいぐるみで、子供は欲しがるだろう。そのぬいぐるみが当ったのがわかると、とても大きな声で喜んだ。孫にでも上げるのだろうと当然想像したが…

爪の垢

ある政治家が、マザーテレサに「貴女は素晴らしい仕事をされていますが、世界中で達成されているようには思えません」と質問した。すると彼女は「達成することが目的ではなく、日々神様の思し召しを実行しているだけ」と答えたそうだ。 偉大な人と、僕ら凡人…

ドクターショッピング

午後から薬剤師も妻もいなくなるのが分かっていたから、今日は無理やり昼食を早くとらされた。食事をしながらテレビをつけていると偶然、反復性腹痛(過敏性腸症)について、やっていた。大学の教授が説明をしていた。学校に行けない子供を前にして狼狽した…

軽トラック

果たして何才くらいの老人なのだろう。80才を越えたのか、まだ越えてはいないのか。湿布薬を買いに来て、雑談をしていた。駐車場に軽トラックがあったので、老人に車で来たのかどうか尋ねてみた。車を自ら運転して来たらしい。 何故僕がそんな質問をしたか…

当たり前

親は子を選べないし、子も親を選べないから、親子関係なんか博打みたいなものだ。育ってみなければ丁と出るか半と出るか分からない。世間の話題に上るのは突出して成功した人達か、突出して悪の道を走った人達なので、極普通の人達が見えにくい。圧倒的多数…

消費

仕事で必ず必要なもの以外は、なにも欲しくない。氾濫するものの中で、欲しい物なんかなにもない。いくら色々な媒体を通じて消費を煽られても心は全く動かされない。外出する時でも、財布にほとんどお金を持っていないので、買う気にもなれないし買う権利も…

同情

戦争が好きで好きでかなわない国の大学で、一人の男が銃を乱射して33人を殺した。その国のサルみたいな顔をした大統領がテレビで遺憾の意を表わしていた。イラクを始め世界中であれだけ人を殺している男が、自国でわずか33人が死んだだけで、わざわざテ…

片隅

朝早い教会のミサは人も少ない。前から2列を小さな子供たちが占めている。恐らく幼稚園から小学生の間の子供たちだろう。20人くらいはいるだろうか。1時間のミサの間も静に儀式にしたがっている。数人の大人がその中にいて、世話をしているのが分かる。…

切符

夕暮れに追いかけられて 電車が走る やがて闇にのみ込まれるようにして 旅は終わる 見知らぬ街の交差点に立ち いくつもの顔を眺めた 一体 何を待っているのだろう 信号機が変るたびに 喪失の矢が 胸に突きたたるのに ゴミ箱を漁る 若き浮浪者 行き交う欺瞞の…

この年令になると、若い女性の丁度父親にあたるみたいで、色々な悩みを打ち明けてくれる。表面的には物質に恵まれ、豊な時代を豊かに生きているように思うが、薬局で真剣に向き合って話をすると心の蔭の部分が浮きあがってくる。 大切な節目節目で、裏目に出…

制服

ある会社の制服を着た若い女性が3人連れ立って入ってきた。片言の日本語でサロンパスが欲しいと薬剤師に言っていた。(後で聞いたのだが、日本のサロンパスはとても品質がよくておばあちゃんへのお土産だそうだ)僕は丁度彼女らのそばでパソコンを打ってい…

楽観主義

結構人は皆、楽天的なのかもしれない。ほとんどの人が眠る時、明日は当然来るものと思っているのだから。明日が来ないだろうと思って眠りにつく人は少ないのではないか。布団に身体を横たえ、目を閉じ、新陳代謝を極端に落とす。明かるさもなく、音もなく、…

今日、ある漢方の問屋さんのセールスが、1冊の本をくれた。漢方を標榜した立派な装丁の本だ。最初から3分の2くらいのところまでは漢方薬の治験例や対談が載っていた。後の3分の1は全国の漢方を使用しているお医者さんと、漢方の○○研究会に属していると…

丁度僕が薬局にいなかったときに持って来られた処方箋を、薬剤師が調剤し、患者さんに説明していた。2階から降りた僕はその計算を頼まれて、パソコンに向かって作業を始めた。患者の氏名を入力し、生年月日を入力した時点で、その患者さんが僕の同級生だとわ…

印籠

8時にシャッターを急いで降ろすと2階に駆けあがり「水戸黄門」を観る。今日から又あの超マンネリ番組が始まった。話しの筋も結末も、まるで演歌の節回しのように想像がついてしまうのだが、それでいて観たくなる。思えば僕の祖母が大ファンだったから、隔…

1週間前にも同じ道を通っているのだが、至るところに桜の木があるのを知らなかった。 例えば土手に沿って、或いは山の中腹に、或いは農家の庭先に。それぞれの場所の原風景を背に、突然に現れた花たちは華やかに咲き存在を誇示していた。 もしあの花たちが…

レゲエ

今日ある人が、レゲエのCDを持ってきてくれた。その人の甥がプロデュースしたものらしい。歌詞カードはなかったが、それ以外はCDショップに並んでも何ら遜色ない。早速薬局でかけてみたが、音もなかなかよくて、レゲエのリズムにすぐ体が揺れた。ところ…

逆転

夕方から一人で仕事をした。毎回来るたびに持参した文庫本を熱心に読みふける女性が丁度やってきた。煎じ薬を作った後、お茶を飲みながら彼女と話した。今度の連休、条件が揃えばぶらりと牛窓を出てみたいので、都会をぶらぶらするのが好きだと言う彼女の知…

勉強

今月に入ってから、漢方薬の送り先が変わった人が何人かいる。大学や専門学校に入学した人、就職が決まり県外に出て行った人。それぞれが次の舞台に立とうとしている。舞台に上がる階段の一つにでもなれたのかと、感慨に浸る瞬間だ。より高い、次を求めなが…

私達

遂にと言うか、当然と言うか、タミフルに耐性のウイルスが見つかった。インフルエンザくらい、寝て水分を補給すれば治るのに、少しだけ回復が早いと言う理由で、どんどん使われた。メーカーが医者や役人をフル動員して、インフルエンザ恐怖症を作り上げ、患…

もし許されるなら 旅に出てみたい 線路の傍の枯草の上 赤茶けた橋げたの脇 心を捨てる場所なら どこにでもある ただ 躊躇わなければ それでいいのだ 遮断機が降りた踏み切りを いくつ数えても 悔恨の念から 逃れられやしない 懺悔は後ろ手に縛られ 忘却を断…

爆弾

無意識にすれ違ったことはあるのかもしれないけれど、明かにベトナムの人ですと紹介されて会ったのは初めてだ。浅黒い顔と背が低いことが二人に共通していたがほんの偶然かもしれない。二人をもって全てを語ることなんて許されない。 日本に来て未だ1月前後…

欄干

こうしてうつむいたまま歩いていると 僕は何に見えるのだろう 仕事にあぶれて 自棄酒をあおる屋台を探しているように見えるのか さっき 釈放されたばかりの 無銭飲食の常習者に見えるのか 嫁さんに逃げられて スーパーの半額の惣菜を買いに行く中年男に見え…