勉強

 今月に入ってから、漢方薬の送り先が変わった人が何人かいる。大学や専門学校に入学した人、就職が決まり県外に出て行った人。それぞれが次の舞台に立とうとしている。舞台に上がる階段の一つにでもなれたのかと、感慨に浸る瞬間だ。より高い、次を求めながら、過敏性腸症候群の人は足踏みをする。そして諦める。たくさんの能力と一杯の想いがありながら、おなかだけの為に躊躇い諦める人が多い。幸いにも縁があって、自分で道を閉ざそうとしていた人達の新たな舞台への登場の役に立てれたのは、薬剤師冥利に尽きる。  毎日喜ばしい報告、残念な報告が交錯する。医療に絶対はないのだから仕方ないが、背負ってきたトラウマの大きさに驚く。僕にも同種の経験があるから手に取るように苦しみがわかる。ただ、克服出来るだろうことも分かる。僕は多くの過敏性腸症候群の人と接してきて、そのトラウマが説得やカウンセリングで解決できないことを学んだ。最終的にはやはり漢方薬だと学んだ。今よりもほんの少し肝っ玉を強くし自律神経をもう少しだけほぐしてあげるとずいぶん解決することを学んだ。  結局僕はお世話をしながら多くのことを学んだのだ。勉強をさせてもらったお礼に、これから新たに縁が出来る人達を一人でも多く完治に導きたいと思っている。