2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

佃煮

もう随分前だと思うが、一人乗りの車が売り出されたことがある。と言うのは、以来余り普及したように見えなかったので、その持ち主である人に尋ねたら、収益がでるほど売れなくて会社が撤退したらしい。初めてその車で買い物に来たときに、わざわざ駐車場に…

場違い

つい「自分の国は暖かい?」と尋ねてしまう。ベトナムが寒いと言うことを聞いてカルチャーショックだったのがまだ尾をひいているのだろう。まるでスキー場にいるような暖かそうな服を全員が着ているから、今度は正解だった。だから「日本は寒い」と顔をしか…

同類

「人に喜ばれているんだからいいではないですか」さりげなくその人は口に出した。定年で医療の現場を離れた人だから、僕に言っているのか自分に言い聞かせているのか分からないような話しぶりだった。 ほとんど歩けなかった状態だったから2日ほど2階で横に…

後ろめたさ

誓約書か問診票か分からなかったが、現在治療中の病気を書く欄があったから、ぎっくり腰と書いておいた。動作の度に顔をしかめるし、痛いという言葉が自然に出てくるからあちらにもすぐ分かっただろう。おかげでスタッフの人がえらく気を使ってくれて、ゆっ…

底力

数年ぶりにあいつがやってきた。そのせいで、たった1mを歩くのに数秒かかってしまう。調子に乗って働きすぎていたのかもしれない。1日10時間は立ち続けだからかなりの負担が腰に来ていたのだろう。魔女の一撃は薬局の仕事分担に多大の影響をもたらす。…

先生、お久しぶりです。お元気ですか? 私は、先生のおかげで毎日、普通に生活できています。時々やばいなという時もありますが、こんな日もあるさって思えています。自動車も遠方まではまだ怖いですが普通に乗れています。自動車で先生に会いに行って見ても…

移住

「ヤマト薬局様 お世話様になります。薬を頂いて、殆ど飲み終えました。体調の方はお陰様にて大部良くなりました。お腹にガスが溜まるのも少なくなりましたし、腹部の痛みの和らぎ、食事も取れるようになりました。何より変化したのは、便通が今まで硬くてコ…

実名

出来れば実名を挙げて話を進めたいくらいだ。実際に無駄な出費をさせられている人が五万といるはずだから。勿論法律を犯しているわけではなく、見方によっては業界の実力者かもしれない。でも僕の薬局では、いや娘達の目指している薬局でも到底受け入れられ…

疫学調査

社会不安障害は1980年の米国精神医学学会において、まれな恐怖症として初めて登場した。米国では12%くらいの人が発病するらしい。もっともこれを病気と捉える人はさすがに少なくて、単なる性格の問題、内気と捉えることが多いからわざわざ病院にかか…

底力

折角ある症状が半分くらいに軽減していた女性が悲しげに入ってきた。またこの1週間でどのくらい改善できているだろうかと楽しみにしていた僕は、一目見ただけで好転しなかったことが分かった。「今週はだめだった?」と尋ねた僕に、「仕方ないです。すごく…

高齢者

田舎にいればごく普通の光景で、お会いする人は高齢の方がダントツ多い。若者は朝早く登校し日中は学校に閉じこめられているから会う機会が少ないのも理由だが、圧倒的に割合が少ないのも事実だ。でも車で繁華街に休日出かけても、田舎と結構似た光景で、嘗…

肩こり

数年来の強烈な肩こりと同居している僕としては、この記事には納得するし、人前で安易に肩が凝るなんて言えないような気もした。 大阪大学の大平准教授の調査によると、腹が立つことが多い、ウツ症状が続いている、仕事や生活環境に変化があった、経済的に困…

ケーブルカー

旅館で同室になった30過ぎの男性と一緒に試験会場に向かった。試験会場は豪華なホテルだった。入り口の所で筆記用具を忘れていることに気がついた。ホテルのボーイに尋ねると近所に文房具店があると教えてくれた。確かにほとんど隣り合わせくらいにひなび…

僕のノートの片隅に書き留めている処方だが使えない。知識だけの処方だ。 ガンで苦しんでいる人を早く送るための処方と言うが、試す機会はないし試したいとも思わない。叔母が苦しんでいるのを長い間見てきたが、さすがにその処方を思いつくことはなかった。…

醜男

正解のなさそうな政治についてコメントするのは気が引けるが最近の流れについての素朴な感想。全くの素人だし、田舎でのんびり暮らしているから見方が狭いかもしれないが、そう言った前提にまず許しを請うておきたい。 青年期、田舎に帰ってきてまず町の有力…

脇道

その車は横道から僕が走っている主要道に出てきた。形からして食料品を運んでいるトラックだろう。恐らくルート配達の車ではないか。日曜日の朝、いつものコースをいつもの慣れた気持ちで回っていたのだろうが、偶然僕の前を走ることになった。その間1分も…

疾走

2日目は税務署の方もすることがなく、税理士さんと雑談をして帰っていった。その中で興味深い話があった。税務署の方はストレスがないのだろうと言う僕の冗談を受けて、税理士の方が、仲間に早死にをする人が多いという話をされた。同業者だから具体的な仕…

職業

1枚の紙の中に数カ所、住所と薬局名と僕の名前を書いて印鑑を押した。そして理由欄と言うところに「失念」と書いて下さいと言われた。最初滅多に使わない言葉だから意味が良く分からずに「失恋?」と聞き返したが、税務署の書類にまさか失恋はないだろうと…

高貴

大学病院の先生に「もうこの子は学校に行くことは出来ないでしょう」と言われていたことを今日お母さんから初めて教えてもらった。ではこの僕が丁度1ヶ月漢方薬を飲んでもらって冬休み明けから完全に登校しているのはなんだろうと思う。漢方薬を飲んでもら…

後発

開口一番「歳をとったなあ」と、なんという挨拶かと思うが、20年も会っていなければ当たり前だろう。そう言う人に限って自分は変わっていないと思うのだろうか、「お宅もずいぶんと歳取ったね」には意外と弱くて顔が引きつったりすることもある。僕は意地…

潰瘍持ちの遠くの女性が、僕の所に来れなかったから、ドラッグストアで胃薬を買ったそうだ。残念ながら効かなかったので、仕事を抜けてわざわざ今日取りに来た。これで一安心なのだが、彼女が面白いことを教えてくれた。 症状を言うと店員さんが薬を選んでく…

江戸時代

成人式を迎えた人達に対するアンケートで、70%以上の人が交際相手を持っていないと回答していた。現在だけではなく、過去にもそう言った相手がいない人も多かった。これをもって世も末かと嘆くことはない。アンケートをとった意図がなにか知らないが色々…

真似事

新年会を兼ねた漢方の勉強会で、都会の薬局の愁いを聞いた。実力ナンバーワンの先生の話だが、一般的な薬局の実情にも詳しく、漢方薬とは縁のない話も参考になった。 都会の話をそのまま田舎に当てはめることが出来ないと言う点が、皮肉にも一番の救いだった…

線引き

若いのにこんなに頻繁に頭痛薬を飲まなければならないのは気の毒だ。嘗て事故などに遭遇してむち打ちにでもなっているのだろうかと勝手に想像していたが、敢えて原因を尋ねるようなことはしなかった。数年前突然やって来るようになって、来るたびに同じ薬を…

勝負あり

もう数回、漢方薬を取りに来ている30過ぎの女性が腰をかけるなり、この2週間の状態の変化を説明してくれはじめた。ところがその途中で、電話での相談が入った。運良く電話相談はすぐに終わったので事務所から薬局に戻ってくるとさっきの女性が携帯電話を…

年賀状

「最近また、よく唄っています。店の蔵でライブをしませんか」いったい何歳の人が何歳の人間に送っているのだろうと言うような内容の年賀状をもらった。嘗て大学で徹底的に落ちぶれた3人組の中の1人なのだが、どうもまだあの時のままで生きているらしい。…

床暖房

面倒だから、スリッパを履かずに上がり込んだのだが、すぐに足の裏が温かいことに気がついた。これがかの有名な床暖房かと尋ねたらやはりそうだった。何処まで温かいのだろうと足を滑らして歩き回ると階段の上がり口まで温かかった。リビングとキッチンに床…

細々

甥に漢方薬を大学で勉強するのと尋ねると、なんかそんな授業があったような気がすると答えた。余りぴんと来ないらしくて、薬理学の中の一こまであったかなあと言うくらいの印象で、どんなことを勉強したのと聞くと「なんか4つの要素で出来ているというよう…

変質

何を思ったのか会計がすんだ後、「ちょっと待ってよ」と言い残して慌てて薬局の外に出ていった。すぐに戻ってきたのだが、手には新聞紙に包んだものを持っていた。「さっき掘ってきたんじゃけれど、クワイとレンコン、食べて頂戴」と、辛うじて残っている数…

気配

あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いいたします。m(__)m お陰さまで、楽しいお休みを満喫しております。去年、初めて大和先生にメールしたのも大みそかと、お正月でした。去年の不安な私はもういません。大和先生の言う通り、お腹が昔の感じ…