江戸時代

 成人式を迎えた人達に対するアンケートで、70%以上の人が交際相手を持っていないと回答していた。現在だけではなく、過去にもそう言った相手がいない人も多かった。これをもって世も末かと嘆くことはない。アンケートをとった意図がなにか知らないが色々な煩わしさから逃げるのは悪いことではない。恋愛で今あるそこそこの幸せを一気に失うことも往々にしてある。相手が出来たばっかりに不幸のどん底に落ちている人も、またそれらによる事件も後を絶たない。典型的な家族構成でなくても、最低限の社会保障も受けられるだろうから、カップルである必要もないのだ。人が一人で生きていくためのものは、社会がちゃんと用意してくれた。一人で生きていくための環境は、企業がちゃんとビジネスチャンスとして捉えて整えてくれた。一人部屋にいても、福山雅治に恋もできるし、綾瀬はるかにも恋することが出来るのだ。自分の周りを見回しても、福山雅治に優る格好いい男性もいないし、綾瀬はるかに優る美人もいない。2人に比べれば僕ら普通の人間は通信簿の1くらいなものだ。1+1が0.5になるなら何も相手を求めることはない。自由に気ままに暮らせばいいのだ。少しばかりの労働と、少しばかりの楽しみと、少しばかりの善意があれば誰にも後ろ指をさされることはない。もう少し時間がたてば日本こそが新しい社会の構成を世界中に示す時が来るだろう。かなりの人が一人で暮らし、人口がどんどん減っていく。それはそれでいいのではないか。健全な山野が復活してゆっくりとした時間を過ごすことが出来たなら、みんなで踏むブレーキも悪くはない。いくら働いても達成感がなくなった世代と、それを見てうんざりしている世代の一斉の意思表示なのだ。何も憂う事はない、電車が走り、パソコンを操り、携帯電話をかける江戸時代も悪くはない。そこかしこに仁がいて咲様がいる社会なんて夢のようではないか。