広虫姫太鼓

 歳をとると出しゃばりになるのか、羞恥心がなくなるのか、さっきまで舞台で太鼓を打っていた女性が、目の前で清麻呂太鼓の演奏を食い入るように見ていたので、話しかけてみた。
 好奇心でではない。先ほど演奏を聴いていて気が付いたことを伝えたかったのだ。黙っていても良いのだが、20数年沢山のコンサートに足を運んで得た知識もあるので、伝えてもいいのではないかと思ったのだ。
 まず鉦(かね)が曲の途中から入って来たのだが、全くリズムが合っていなくて、打ち手も首をかしげていた。恐らく聴衆もリズムの乱れはかなりのストレスだったと思う。リズムって日常の中にもいろいろあるが、正確であればあるほど心地よいのだが、素人が聴いていても乱れようが激しかった。そこで「あそこで鉦(かね)が入る必要があったの?」と尋ねてみた。すると彼女は、室内ではなく野外で演奏すると音が流れるんです」と教えてくれた。この「音が流れる」と言う表現がとても美しく感じた。素人が心配するようなことではないことがよくわかったが、この美しい表現を導き出したのは、いらぬお節介の賜物と都合の良い解釈をした。
 バレーボールを25年間やって来て、素人ながら向上心が途切れたことはない。プロのようになれないのは当然分かっているが、それでも自分なりに最高のプレーはしたかった。
 素人の和太鼓も同じだと思う。楽しいサークルでありながら、いい演奏を常に志して練習をしているのは、スポーツも音楽も同じだと思う。その上、僕が人生でやり残したことの筆頭に来る和太鼓演奏を人前で披露する高揚感は、スポーツ大会と同じだと思う。
 言おうか言うまいか迷ってのだが、和太鼓おたくの僕は、どのチームにも上手になってもらいし、もっともっと多くの方に感動を与えてほしいから、あえて口にした。「ソロパートを取り入れて。聴く立場としてメリハリが出来るから」と。
 回を重ねるたびに上手になっているのは伝わって来るが、いつか拍手だけでなく、声援が飛び、口笛が鳴らされるようになってほしい。

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