2012-01-01から1年間の記事一覧

整合性

365分の1のありふれた1日が終わり又一つページを捲る。もう何十回も繰り返してきた、そして年ごとに何の意味も持たなくなったページだ。口には「あわただしくて・・・」と出す人はいても、その落ち着きようとどう整合性を保つのだろうと首を傾げる。分…

井上陽水ではないがほとんど彼の歌の「傘がない~」状態だった。 僕が連れて行ってあげられるのはせいぜいスーパーの中のファミリーレストランかセルフのうどん店くらいだから、娘が気を利かせてくれたのか、今日繁華街の洒落たカフェにかの国の女の子二人と…

選択

話の前後は忘れたが、上の姉が「薬も飲んでいないし検診も受けていない」と言った。僕はそれでいいと思う。そのどちらもが必ずしも健康や長寿を約束してくれるものではない。薬で救われないものもあるし、健診で見落とされるものもある。そもそも統計的に何…

落語

パソコンが普及し始めた頃、落語でこんな面白い話があった。お年寄りにパソコンの使い方を教えている場面で「マウスを上に移動してください」と指導されたお年寄りが、マウスを空中に持ち上げた話だ。当時時宜を得た新作ネタに大笑いしたのだが、今日、僕の…

後ろ髪

いざ出かけようと思って2階に上がってみると、まだ夕方の6時なのに母がベッドの上でモコと眠っていた。せめてクリスマスイブの夜くらい、教会でフィリピン人の歌の伴奏(騒がしい中、たった2,3人で無伴奏で歌う惨めさを味わせたくなかった)をしようと…

ゼンザイ

駐車場で煎じ薬を攪拌する作業を終えて裏口の戸を開けると、「オトウサン ゼンザイ」と言いながら、顔の前に小豆色の液体が入ったタッパウェアを差し出された。二人のかの国の女性が嬉しそうな顔で笑っていた。ゼンザイという言葉とそのものは2ヶ月くらい前…

メッセージ

老いた両親が遠くから娘の漢方薬を取りに来た。タウンページで探したがヤマト薬局が出ていなかったらしくて、ぶっつけ本番で来たと言っていた。娘夫婦に漢方薬を作ってもらっている間に、その方に簡単なメッセージを書いた。そして漢方薬と一緒にことづけた…

初氷

気象台の発表とは異なるかもしれないが、今日が僕にとっては初氷だ。朝中学校のテニスコートを周回している時に、数カ所、昨日の雨の名残の小さな水たまりに氷が張っているのを見つけた。何の習性か知らないが、そんなものを見つけたら必ず上に乗って氷の硬…

春巻き

今、かの国の女性二人が2階で春巻きを作っている。なんでも80人分作るというから、かなりの手間だと思うのだが、楽しそうに作っている。「お父さん手伝って」と手許を見ないままエビを小さく刻みながらひつこく言う。かの国の男性は料理を手伝うらしいか…

聴衆

僕より恐らく数歳若いだけなのに、恐ろしく幼稚な人間だと思った。ギガだとかテラだとか、そんな怪獣の名前は知らないし、そもそも興味はなかった。僕らの時代はそれこそキングコングとゴジラしかなかった。ほとんど同じ年代なのに、ひょっとしたらいい年こ…

忍者

「一緒にいて別に不愉快な想いはしません」と淡々と言ったから、そのせいではない。ただ多くの相談者はそうはいかない。ハッキリと教えてくれる人もあれば、ぼかしてしまう人もあるから、本当のところを見抜く力は必要だ。 体調不良の原因は無数にあるのかも…

演出

風貌もさることながら、言葉遣いや仕草に圧倒される上品さを備えている。とても牛窓なんかには似合わない女性だが、何故か牛窓を選んで住んでくれている。もっともご主人とお子さんも又彼女に負けないくらいのものを持っていて、良くは知らないが田園調布く…

壊滅状態

申し訳ないけれど、その地名を地図上に想像することは出来なかった。ただ九州と言うことは分かったが、何処の県にあるのかは分からなかった。クリスマスカードを送ってくれた後輩は長崎の人間だから、九州から便りをくれるのは分かるが、クリスマスカードを…

道連れ

目を合わせるのが余り得意ではないシャイな青年が、微笑みを浮かべながら「仕事についたんで」と教えてくれた。その嬉しそうな表情こそが僕らの職業の人間にとっては真の報酬なのだ。その表情を出して貰うために、ない知恵を絞っている。達成感はかなりのも…

日本一

やっとこれで日本一の漢方薬局になれた。いやなれたに違いない。いやなれたかもしれない。いやなれたんじゃないかと思う。いや、なれるに決まっている。いやなれるはずだ。 勿論、効く確率が日本一ではない。売り上げでもないし、客数でもない。スタッフの数…

加工食品

買い物カートに次から次に入れていき、山の様になったから、一体いくらするのかと心配になった。肉あり魚あり野菜あり、果てはインスタントラーメンまであるから、それなりに考えているのだろうが、食料品を買ったことなど無い僕には見当がつかなかった。「…

唐辛子

食物も植物も苦手だから、正しく書けるかどうか分からないが、「まいった、まいった」体験をしたので披露する。 雑炊の傍にまるで漬け物のように少しの野菜が添えてあったので、先にその野菜の方に箸を伸ばした。昨夜かの国の女性が作って持ってきてくれた酢…

野心

漢方薬を飲んでいるウツウツの方の奥さんが「ヤマト薬局のいいところは、余分なことを尋ねないところ」とご主人が言っていたと教えてくれた。それがいいところかどうか分からないが勿論意識などしていない。その方がどう言った背景を持っているかなどほとん…

真骨頂

なるほど、こういうことを嘆いていたのか。初めて経験した。 都市部の勉強会に出席すると、ある不思議な悩みを聞くことが多かった。勿論、聞いてみるとこの国の仕組みからそれもありかと納得は出来るのだが、実際その様な行動を見識ある、いや経済的にも圧倒…

セカンドオピニオン

いつかはしなければと思っていたが、最近とみに漢方薬の商業的な使われ方が目立ってきたので、ついに決心した。本当はこれ以上パソコンに向かう時間を増やしたくないのだが、余りにも無知か、悪意か分からないような例を沢山耳にするようになって、今日から…

無駄

昨日の夜、散歩に出ていたら急に呼び戻された。ある女性が朝から吐いているらしい。お子さんの胃腸風邪が移ったらしいのだ。これからご主人が漢方薬を取りに行くから作っておいてとのことだった。なんでも関西に信頼している医師がいて、その医師が胃腸風邪…

星座

第九の前座だったのだが、僕は初めてミュージカルというものを実際に観た。テレビでやっていてもすぐにチャンネルを変えるのが落ちだったが、舞台の上で繰り広げられる歌や踊りに興味をそそられた。それこそ歌と踊りで、何の解説もなしに、表現を完成させる…

第九

当然大好きな第九だから、感動に浸りながら、なおかつ終わらないでくれと願いながら聴いていたのだが、途中からなんだか悔しくなってきた。良くは知らないが、ベートーベンがフランス革命に身を捧げる人達にエールを送って?作った曲だとしたら、今の日本で…

千春殿

それは不思議な光景だった。日暮れ前だからまだ結構明るくて、目の錯覚ではない。もう太陽は西の空に沈みかけていたから空を見上げてまぶしくもなかった。だから僕はハッキリと見たのだ。 鳴き声が近くでするから僕は空を見上げた。すると3羽の鳥が戯れるよ…

癒し犬

娘が思わずガッツポーズをした。動物病院の診察を終えた妻からの電話を受けた後だ。つい最近紹介した、高額な菌糸体を飲ますように発案して、毎日しこしことまるで美味しいお菓子のようにモコに与え続けていたのが功を奏しているのが今日分かったのだ。レン…

予想外

これは予想外だった。こうなると人ごとではない。 ある漢方薬メーカーの社員が一月前教えてくれた廃業予定の薬局が、実は僕がお世話している漢方の勉強会に数年間通ってきていた薬剤師が経営する薬局だと言うことを、今日、他の漢方問屋の社員が教えてくれた…

格差

おおなんて言う贅沢犬なんだろう。決してそのようには育ててはいないのだけれど、10倍の格差があるとは。 僕は気がつかなかったが、妻と娘はモコのお腹に沢山のしこりがあることに気がついていた。獣医に診てもらったら癌のようだと言う。手術をするかどう…

合掌

「中央自動車道の笹子トンネルで起きた天井崩落事故で、警察は業務上過失致死傷の疑いで道路を管理する名古屋市の中日本高速道路本社など関係先に家宅捜索に入りました。」 なんだこのニュースはと思う。何かしっくりと来ない。この素早い警察の動き方はなん…

人脈

意外や意外。専門家に母の家を診てもらったら「屋根さえ直せば大丈夫ですよ」と言われた。一瞬耳を疑って聞き直したがやはり大丈夫と繰り返されただけだ。 母が半年前まで住んでいた家は、いったいいつ建てられたのだろう。昭和か大正か明治か、さすがに江戸…

限界

妻がぼそっと、「うちにくれば良かったのに」と言ったが、さすがに僕は即座にそれはうち消した。レベルが違う。お子さんの苦悩の質と、その家の良質さが。僕がお世話できるのは超庶民のウツウツとした生きにくさくらいまでだ。本当に死を考え、今にも実行し…