癒し犬

 娘が思わずガッツポーズをした。動物病院の診察を終えた妻からの電話を受けた後だ。つい最近紹介した、高額な菌糸体を飲ますように発案して、毎日しこしことまるで美味しいお菓子のようにモコに与え続けていたのが功を奏しているのが今日分かったのだ。レントゲン写真を食い入るように眺めていた獣医が「おかしい」を連発したらしい。1ヶ月前に撮ったレントゲン写真と比べながら、肺にあった癌が2箇所完全に消えていたそうだ。もうそれで全て無くなったのか、2つだけ無くなったのか詳しくは聞いていないが、家族中が喜んだ。そもそも今数人の人にその菌糸体と漢方薬を服用してもらっているが、みんな結構元気なのだ。診察日に他の癌患者と会うらしいが断然自分が元気だと本人達も認めている。体力を付け、免疫力を増すから当然と言えば当然だが、病院の治療が副作用を感じられないくらい容易に受けられるのも大きなメリットなのだろう。結構沢山の方に喜んで頂いているから、この種のものも大きく訴えればいいのかもしれないが、どうもそれは気がひける。本来的には病院の専門分野だし、そもそも帰結が不幸になる確率が高いから、そこまで引き受ける勇気も体力もない。どうしてもと頼まれれば全知識を動員してお世話させて貰うが、積極的に訴える種類のものではない。  ところでモコが今日病院に行ったのはその為ではない。妻がどうも好きだった歯磨きをいやがるので、口の中に何かが刺さっていると疑ったのだ。奥の方だが、触ると何か固いものに当たると言っていた。よく犬の口の奥の方に手を入れることが出来るなと感心するが、犬と話せる妻には簡単なことなのだろう。獣医も最初は何もないと診断したらしいが、妻が奥の方にあることを教えてあげると見つけて抜いてくれた。出てきたのはなんと大きな魚の骨だった。魚など餌としてやったことはないので、ごみ箱を漁ったに違いない。モコはミニチュアダックスでとても愛らしくて、癒し犬だと思っていたが、実は「いやしい」犬だった。