大野原龗王太鼓

 勿論演奏は完ぺきで、なおかつ視覚的に楽しめるのは大野原龗王太鼓と備中温羅太鼓だ。
 前者は、鬼の面をかぶっって大太鼓を打ち、クライマックスでは、太鼓台に上って大太鼓をまたぐようにして長いばちで叩く。まるで鬼が荒れ狂っているようだ。最後の最後で紙テープを投げる。
 後者は、鬼と神官たちの争いを、太鼓を打ち鳴らす演武で表現している。嘗ては打ち手も多くいたから、壮大な争いが舞台の上で展開されたが、最近は少し打ち手が減って、嘗ての勇壮な舞台を知っているものにとっては寂しい。
 昨日、丸亀城まつりで初めて戸外でその鬼が打ち叩く曲を聴いた(見た)。コンサートホールでは何度も見たが、明るい場所で一人一人の顔が分かる距離で見たのは初めてだった。
 見て驚いたことがある。あの鬼の叩く姿を観て聴いて、「もう一年生きて来年も聴きに来たい」と思わせてくれる打ち手たちが、結構年配の方たちだったのだ。60歳をほとんどの方が過ぎているかもしれない。僕よりは一回りは絶対に若いが、例えば昨日も出演した和太鼓集響屋の全員が若い状態とは対照的だった。
 めきめき力を付けて来た和太鼓集響屋の若さには勝てないが、何十年もの間積み上げてきた実績は、ゆるぎない存在感で証明済みだ。昨日も僕の前で見ていた若い女性たちが、驚き?感激?のあまり顔を見合わせていた。あの強烈なインパクトを与える演奏をしている人達の年齢が僕には意外だった。あのレベルだったら、もっと多くの若者が打ち手として集ってきてもいいと思うのだが、地盤としている地域の特性だろうか。
 その中で目を引いたのは二人の若者。終始中心で叩いていた若い女性。高校生くらいに見えたが、そのクールな表情がとても良かった。ひょっとしたらおじいちゃんかおばあちゃんかが同じ舞台に上がっていたのかもしれない。力強く太鼓を打っていた若い男性と、しっかりと伝承して、もっともっと多くの人に感動を与えてほしい。
 昨日、6月に行われる「さぬきの鼓響」のチケットを直接、大野原龗王太鼓の世話役の方に頼んできたが、これからあの鬼の曲は、聴かせていただける、見せていただける感謝の念で臨むことにした。
 6月23日、早く来い!

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