2008-01-01から1年間の記事一覧

首切り

何かが欲しいという年齢でもないので、そんなに力んで暮らす必要はない。淡々と暮らし、せめて腰と首が痛まなければ儲けものと言ったところだ。早く得たものと与えたものが逆転して、少しは社会のために役立ちたいと思うのだが、まだまだ得たものの方が圧倒…

安心材料

正月はどうされるのとこの時期は良く尋ねられる。何もする事がないから家にいると答えるとすこぶる好感を持って迎えられる。助かったと言葉を続ける人もいる。こんな僕でもいるだけで少しは安心材料になるのだろうか。何があっても病院にかかる人達にとって…

故障

特別養護老人ホームに入居している方のお正月分の薬を作らなければならなかったのに、今日2度も調剤用の機械が故障した。100人以上の薬を、朝は朝、夜は夜といくつもの薬を1つの袋に集めて飲み忘れがないように調剤しなければならない。時間さえあれば…

飯台

飯台の上に湯飲み茶碗が置いてあった。お父さんが何かの拍子にこぼしてしまった。お父さんは「ごめんごめん」と謝るが、お母さんは「わたしが隅の方に置いていたから悪いんです」と謝った。その様子を見ていたおばあさんが「隅の方にあったから危ないなと思…

永久凍土

一目見てふっくらしたなと思った。もともとかなりスリムな女性だから、丁度良い加減かもしれないし、まだ太ってもいいのかもしれない。1ヶ月ぶりに漢方薬を取りに来たのだが、こちらが尋ねもしないのにニッコリしながら「彼が出来たんです」といった。彼が…

斜面

どのチャンネルを回してもそのタレントの死をやっているので、うんざりするのだが、華やかな世界に生きていそうな人達でも孤独はあるものだと想像する。興味がないので、内容については全く知らないが、その女性の縁の無さを思う。その世界がどの様な人間関…

偶然

もう一つのクリスマスプレゼント。 偶然がいくつも重なって、とても素敵なクリスマスプレゼントを頂いた。 ある女性の友人が、僕の漢方薬を飲んでいた偶然が一つ。いやいや、それよりも前にその友人が牛窓に働きに来た際、偶然僕の薬局に入ってきて、以後何…

クリスマスイブ

クリスマスイブに素敵なプレゼントを2つ頂いた。その中の一つを今夜、もう一つを明日披露する。 僕はまさにこの為に薬を作っているのだと大きな声を上げて叫びたいほどのメールをある方から頂いた。その内容を日々悩んでいる人達に披露したくて、許可をお願…

横着

邑久駅まで送って、帰ってきた妻がしきりに「いい子だ、いい子だ」と言っていた。その感想に対して全くの異論がない。その言葉以外に適当な言葉も見あたらない。関西の大学から中国地方のある街へ帰省するついでに寄ってくれた。丁度寄り道が出来るような位…

忘年会

幸か不幸か、バレーボールを辞めてから、ほとんど飲み会というものがない。忘年会も全くなくなった。そんなものがあることすら忘れていた。最近とみにお酒に弱くなったみたいだから、好都合なのだが、歳時記に全く疎くなり年が暮れ、年が変わることすらほと…

子犬

お店の人には申し訳ないが、買う気もない、全くの冷やかしだ。雨が降っていたから、商店街のアーケードの下で時間を潰した。一番居心地が良かったのは、ペットショップだった。まるで熱帯魚を飼う水槽みたいなケースの中に沢山の子犬が1匹ずつ入れられてい…

雑音

雑音がかなり聞こえたから電話の調子が悪かったのだろうか。あるいは泣き声に聞こえたから、旨くしゃべれていなかったのだろうか。 若いセールスが、当方が調剤してある医師に渡すように頼んだ薬を届けることが出来なかった。薬が届くべき日に届かなかったの…

心残り

ある大きな病院で、「みんなで語ろう、これからの高齢者医療」と言うシンポジウムを行った時、自分が高齢者になったら積極治療を希望するか、という問いかけを全員にしたそうだ。すると30人全員が「希望しない」と答えたそうだ。医療従事者の中には、医師や…

落差

昔ながらの薬局で、スペースがとれないものだから、介護用品の部類ははなはだ在庫が少ない。申し訳程度に、間に合わせ程度にしか置いていないのだが、最近とみに需要が増えて、問屋さんから週2回結構な量を運んできてもらっている。(もっとも、普通の薬局…

飢え

僕とほとんど同じ世代の女性が、「あの頃の学生は今と違って良かったような気がする」と言った。何となくニュアンスで言わんとすることが分かるので「そうですね」と同調したが、実際にはどうか分からない。ただ、「あの頃の方が、学生には良かったような気…

寄り道

・・・無事受験も終わりほっとしています。思い起こせば、高校一年の時のお昼はお腹が心配でゼリー飲料、カロリーメイト等を教室の片隅で食し、二年になってやっとおにぎりを持って行き食べるようになり、そして今普通の子と同じように食堂でお弁当を食べる…

原則

別に盗み聞きするつもりはなかったが、二人の男性が大きな声で話し始めたので否応なく聞こえてしまった。 30才くらいの男性に、中年の男性が話しかけた。 「首の調子はどうなの?」 「首はいいけど、肩がぱんぱん。めまいもするんで不安ですよ」 「めまい…

バイオリン

あるオークションに古い埃だらけのバイオリンが出された。主催者は何の価値もないので1ドルの金額から競りを始めた。それに対して、2ドル、3ドルの声が挙がり、結局3ドルで落札される事になった。その時白髪の老人が突然舞台に上がって、埃を丁寧に拭っ…

未来

ゆっくりとした空気の中で仕事をしたいから、来店者でちょっと時間がかかりそうな人にはお茶を出す。幸運なことに当方を利用してくれる人は良い人が多いので、不愉快な事を経験することは滅多にない。どなたとも心地よく仕事をさせてもらっている。面白いこ…

武者震い

僕なんかよりずっと前から漢方薬を勉強している先生から電話を頂いた。僕が事務方をしている勉強会の大先輩だ。僕は若いという理由からだけで雑用をさせてもらっているが、その雑用故に、色々な方とお話をする機会を得、知識を少しずつ享受させてもらった。 …

ちゃらんぽらん

日曜日に、だだ広い教会の駐車場で、止まっている車と押すような状態で接触した。家に帰ってから、車関係の職業の人に電話して、どのくらい費用がかかるか尋ねた。すると保険の免責を少し出るくらいかなとの感触を得た。保険屋さんとも相談したが、警察に行…

満面の笑み

家電会社の名前に似ているから尋ねてみたら、やはり同じ系列だった。テレビやパソコンを作っているのかと思ったら、保険会社も経営しているのだ。そう言えば、最近リースで機械を入れると必ずどこかで聞いたような名前の会社が多い。機会屋さんがいつの間に…

端くれ

薬局には毎日沢山の情報が色々なルートを経由して入ってくるが、その多くは希望に溢れるものだ。最先端の研究成果が毎日伝えられる。地道な研究を多くの学者がしているのが分かる。決して目立つ存在ではないが、着実に堅実に英知を結集して成果を上げている…

疲労

日曜日にまずやることは、ギターの調弦。毎週フィリピン人のコーラスの伴奏するために1週間緩めておいた弦を張る。大したギターではないと思っていたので弦を張りっぱなしにしておいたが、鍼の先生が昔のギターは価値があるから大切に扱うように教えてくれ…

浜辺

ある晩、男が夢をみていた。夢の中で彼は、神と並んで浜辺を歩いているのだった。そして空の向こうには、彼のこれまでの人生が映し出されては消えていった。どの場面でも、砂の上にはふたりの足跡が残されていた。ひとつは彼自身のもの、もうひとつは神のも…

氷点下

ある中年女性が、薬が出来るのを待っている間に、ため息をつきながら暗い表情で一言漏らした。「大変な時代ですね」と。何を想定して言った言葉か分からなかったが、何となく大変は大変だろうなと思ったので安易に同調していた。ヤマト薬局のコーヒーをとて…

マザーテレサの言葉

“あなたの中の最良のものを” マザー・テレサの言葉より 人は不合理、非論理、利己的です。 気にすることなく、人を愛しなさい。 あなたが善を行なうと、利己的な目的で それをしたと言われるでしょう。 気にすることなく、善を行ないなさい。 目的を達しよう…

評価

あるおじいさんは、医院にかかったら必ず処方箋を当方に持ってくる。当方はいわゆる医院の前で小さな建物を建てて営業する門前薬局ではないので、その医院にあわせた薬は常備していない。必ずしも処方箋と引き替えに薬を渡せるとは限らずに、当日、あるいは…

防波堤

心も肉体も限界まで耐えると悲鳴を上げる。悲鳴を上げれる人は幸いで命拾いをする。悲鳴が鬱々とした心か、食べれないか、寝れないか、あるいは極度の疲労か、あるいはそれらの複合か分からないが、結局は命を守られている。命を守られている反応で、命を粗…

めんどくせい

最初は、遠くで少年同志が話しているように聞こえた。そのうち声が少し近づいてきて、話していると言うより呼びかけているように感じた。自転車にでも乗っているのだろうか、声が近づくのが意外と早くて僕が歩いる空き地にかなり近づいてきた。県道には街灯…