端くれ

 薬局には毎日沢山の情報が色々なルートを経由して入ってくるが、その多くは希望に溢れるものだ。最先端の研究成果が毎日伝えられる。地道な研究を多くの学者がしているのが分かる。決して目立つ存在ではないが、着実に堅実に英知を結集して成果を上げているのだと思う。華々しい世界の堕落ぶりにうんざりしているから、このような対称に位置する人達の努力が神々しく見える。  今日読んだ文章の中に、生きた癌だけ光らすことが出来る技術を開発したというのを見つけた。思わずすごいと口に出したが、開発したのが東京大学の薬学の准教授だと言うことが分かり余計嬉しくなった。僕も薬剤師のメチャクチャ端くれだから、同じ薬剤師がこんなすごいことをやってのけたのには誇りを感じる。真面目でセンスに富んだ人なのだろうが、薬学を目指す人達の希望になるだろう。僕を知った人が薬学を選択肢からはずすのとは格段の差がある。詳細はどうせこうして書いてる僕自身が分からないのだから省くが「小さな癌を見過ごさずに切除できるので、誰もが名医になれるだろう」と結んでいる浦野泰照准教授の言葉が圧巻だ。近い将来、オレが名医にしてやったと言える日が来るのだろう。  ノーベル賞受賞で一躍、基礎科学が脚光を浴びたが、マスコミはその中の特異な言動にだけ注目して、結局はネタにして終わりだ。特異な人の特異な言動の中に真実があるが、そこから発展させる意志も力もない。どれだけ多くの人がどれだけ努力をしているのだろう。そして与えられるべき報酬を得ているのだろうかと不安になる。薄っぺらな報道に電波も萎える。