満面の笑み

 家電会社の名前に似ているから尋ねてみたら、やはり同じ系列だった。テレビやパソコンを作っているのかと思ったら、保険会社も経営しているのだ。そう言えば、最近リースで機械を入れると必ずどこかで聞いたような名前の会社が多い。機会屋さんがいつの間にかリース会社まで経営しているのだ。あっという間に日本中から小さな商店や工場が消えて、大きな会社だけが残った。会社は物づくりだけでは飽きたらず金づくりにも奔走していていつの間にか銀行やら、保険やら、リースとやらで莫大な利益を上げていたのだ。そう言えば、最近都会から越してきた人が、素敵な病院を紹介されて行ったらホテルのように設備が整い、ホテルのように医療従事者が振る舞っていると言っていた。そしてその設立者を見たら、有名な警備会社だったらしい。あの規制緩和という錦の御旗でかなったのは、大金持ちが大金をもっと手にする手段をなりふり構わず手にすることが出来たって事だ。富には限りがあるから、一部の人に集中すれば多くの人が失うに決まっている。人間を使い捨てにするシステムを作った輩の満面の笑みが想像できる。してやったりなのだろう。  悲しすぎないのか。憤怒は焼けたテントを破るのか。憤怒は錆びたシャッターを風に揺らすのか。憤怒は通りを凍らせやり場のない喪失感を傾いた電柱につるすのか。使い捨てにされた魂が、側溝を行列のように流れていく。