2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

飽気

久しぶりの雨が降っている。人工ではない自然の冷気が忍び寄る。乾燥しきった僕の心にも雨が降った。涙の雨が降った。子が親を殺し、親が子を殺す。地球は沸騰し心は冷める。爆弾で遊ぶ子供達の肉片が飛ぶ。正義はいつも臆病で、悪意はいつも勇敢だ。饒舌は…

リポビタンD

知っているのか、本当に知らないのか分からないが、長い間ほとんどの薬局の店頭で間違った会話がされてきたと思う。テレビ宣伝を何十年も見せられた結果、間違った、いやメーカーにとっては狙いなのだが、先入観を植え付けられてきた。「疲れにリポビタンD…

クリ

雑種のクリは、焼肉屋さんから分けてもらった犬だ。いつも放し飼いにされていた焼肉屋さんの母犬は、しょっちゅう子供を産んでいた。娘が小学低学年の時のことだろう。嬉しそうに赤ちゃん犬を抱いている娘の写真があるから、恐らくその頃もらってきたのだと…

漁師

牛窓は瀬戸内に面した半農半漁の町で、第1次産業に従事する人が多い。ただ、どこの町でもそうかもしれないが、後継者不足は深刻だ。収入が安定していれば少しくらいきつい仕事内容は解決できる。一番は、やはり自然相手の仕事で、自分の努力を越えた自然現象…

豹変

今日、ある男性と話していた。なかなか自信に溢れている人で、僕に対してあたかも年下に話すように、時に命令口調でとうとうと自説を述べられた。僕はその自信過剰に閉口しながらも最後まで話を聞いた。そして最後に、彼に、○○さんによろしく伝えておいてと…

ビール

恐らくこの一月、ビールも飲まなかったのだと思う。眠らないことを第一義に過ごしてきたから、ビールで眠気を誘うなんてもっての他だった。今日久しぶりに飲んでみたが、1ヶ月待って飲むほどのものではなかった。作られた倦怠感よりは、意地でもやりぬくぞ…

赤とんぼ

不覚にも、夕食後台所の床の上で眠っていた。丁度2時間くらい寝ていたことになる。この1ヶ月、自分が担当していない薬局業務をなんとかこなそうと緊張の連続だったが、今日薬剤師さんが又担当してくれることになり、やっと解放された。その安堵感なのだろ…

山あり谷あり

薬剤師さんが休んでいた間、ホームページの更新が出来なくて申し訳ないと常々思っていた。薬剤師さんが半分復活してから、ホームページが更新されるようになって、少し気が楽になっている。しかし、いつ又このようなことが起こらないとは限らないので、一念…

酒に酒を注ぐ

じっと目を凝らしてみれば見えてくる。耳をすませば聞こえてくる。嗅覚を研ぎ澄ませればにおって来る。僕を必要としてくれている人が必ずいる。その姿を見る力が僕にないのだ。その声を聞く力が僕にないのだ。もしその姿が見え、もしその声が聞こえたなら、…

人間の血

長袖のシャツをおもむろに肘まで捲り上げると、右腕が義手だとはっきり分かる。精巧に作られているので袖を伸ばしていたらほとんどの人には分からないだろう。「一寸持ってみる?」と言うと彼は義手をはずし、僕に持たせてくれた。なるほど、この重さだった…

平和

昨日、教会で「そんなに不幸なの」と僕に尋ねた人がいた。軽い気持ちで尋ねたのだろうが、僕は真剣に考えてしまった。そんなに僕は幸薄く見えたのだろうか。僕はしばらく考えたあと「不幸ではない」と答えた。ただ僕の心の中に平和はないと思った。僕の心の…

展望台

調剤の機械に慣れたこともあるのだろうが、およその段取りがわかったお蔭で、日曜日家に閉じこもって、特別養護老人ホームの薬を作ることからやっと解放された。毎日朝2時間、夜2時間くらい仕事時間以外に頑張ればなんとか、納めることが出来るようになっ…

交換神経

今週も息絶え絶えに乗りきった。少しだけ薬剤師さんが来てくれるようになったので、少しは以前の栄町ヤマト薬局に帰ったかもしれないが、まだまだ岸は遠い。実力がない分、笑いの一つでもお土産にして、交感神経優位の攻撃的日常を瞬時でも忘れてもらえるよ…

行列

毎日、目が覚めるや否や、言葉の行列がやってくる。覚醒した大脳より早く言葉の方が飛び出してくる。それらに秩序を持たせるには時間を要す。僕の中に僕もいて、僕でない僕もいて、僕になりたがったり、僕に戻りたがったり、僕でないように離れていこうとす…

虚言

悪意に満ちた虚言に翻弄された時間を返せ すれ違いざまに名前を呼ばれ指紋を取られ 隠すものもなく 良心のかけらを差し出して 命乞いをするのはどうだろう 悪意に満ちた虚言に翻弄された日常を返せ 精神は太陽に焼かれ路傍で枯れて 下水道の錆びた汚物の腸詰…

黄金色の船

もう、どのくらい前のことだろう。僕の薬局で気を失ったおじいさんがいて、救急車を呼んだ事がある。そのおじいさんはその後、元気に退院されたのだが、後日談がある。あの日僕と話していて気が遠くなったらしい。すると、牛窓の港に、黄金色の船がいて、そ…

身の丈

漢方薬を作る間、二言三言、夫婦で会話をしていた。3回目に初めて夫婦でやってきた。最初は主人だけ。2回目は奥さんだけ。最初に作った薬の袋に、僕が注意した食養生を鉛筆でメモしてあった。きっと、奥さんに実行してもらっているのだろう。薬の袋は捨て…

ガス漏れ

わずか数ヶ月で彼女は別人になった。今日、東海地方から日帰りで来てくれた彼女は、これで2回目だ。ある疑問を持って又訪ねてくれたらしいが、分かったと晴れ晴れした顔で帰っていった。一つの疑問を解くために、新幹線で往復するのはもったいないような気…

一粒の薬

気が立っているのか、このところ5時間くらいしか眠れない。12時を回って寝るが、5時から6時の間には、きっちり目が覚めてしまう。いったん目が覚めると眠れない性質なので、調剤室に降りていき薬を作る。特別養護老人ホームの薬は、幾つもの薬をいった…

白線

遠く先を見つめて歩いてはこなかった 振り返りもしなかった 用意された道もなかったから 踏み外すことは簡単だったのに 勇気がなかったから 白線の内側を歩いてきた だからと言って振りかえることもしなかった 後悔するほど機会に恵まれなかったし 努力も才…

薬局の嫁さん

今日、ある薬を取りに来たおばちゃんが「あーあ、薬局の嫁さんになりたかった」と言って出て行った。この方は、神戸の震災で家を失い牛窓に来た方だ。当初、牛窓に知人もなく、口を開けば牛窓とその住人の悪口だった。田舎なので悪意を持った人は少ないのだ…

お零れ

80歳に手が届く。腰は二重に折れている。長年の紫外線の暴露で、皺は深い。いまでも現役の農業の稼ぎ手で、軽トラックを運転して薬局にもくる。軽トラックとは言えないが、オートバイでやってくる老人も多い。さすがに長年の重労働で、腰や膝は痛めている…

夜回り先生

東海地方に住んでいるある女性が、今、奇跡的な過敏性腸症候群からの脱出をしている。彼女が治れば、いやもうかなり完治が見えてきたのだが、全国で何十万人もの同類の悩みの人を救うことが出来るだろう。僕が送っているのは切断痛の煎じ薬だけなのだが、嘗…

飽き性

僕は、一つのことを集中してやり遂げることが下手なので、いくつかのことを並行して進めていく。そうすると飽かないのだ。飽かないと言うより、飽くまでしないという方が正確かもしれない。能率は僕にとっては重要なのだ。だから少しの時間の単位ですべきこ…

今日中

今日中とは12時までを言うのだろうか。それとも僕の意識の中の時間を判断基準にすればいいのだろうか。どちらにせよ、今日中にやり遂げたいとメモにしていたことの中で、6つのことがまだ手がつけられずに残っている。辛うじてこのブログだけが皆さんとの接点…

ステンドグラス

ハワイのMolokai島はハンセン氏病患者の島だそうだ。そこに宣教に行ったDamian神父様は、最初島の人達に全く相手にされなかったそうだ。神父様が伝えようとした宗教は健康な人間のものだと言われ、全く相手にされなかったそうだ。そこで神父様…

ウォーターボーイズ

僕はこの映画を観る度に涙が出る。「ウォーターボーイズ」あまりにも僕の青春とかけ離れた内容。決して勝者にはなれなかった受験と言う儀式の中でしか生きなかった僕の青春を、一蹴するかのような内容。悔恨を持ってしか観ることが出来ない。繰り返してみる…

昼ご飯

昨日なんとか、50人分の薬を特別養護老人ホームに間に合わせることが出来たので、自分へのご褒美として今朝は6時に起きた。1時間睡眠時間を延ばした。6時に起きてすぐ今日の計画を立てた。5つのことを片付けなければならなかった。ところが丁度今3つ…

鳴り物入り

見るからに嘗ての面影がなかったので家族にも尋ねてその人の言動が最近おかしいことを確かめた。痴呆がはじまったのだろうと思ったので病院を受診するように勧めた。後日処方箋を持って家族がやってきたので、処方された薬がアルツハイマーの薬だと分かった…

復帰

父の法事のために帰ってきた姉二人は、珍しくのんびりしている。千葉と横浜に住む二人にとって、そんなにしばしば帰ることが出来る距離ではない。冠婚葬祭を利用するのが一番納得出来る理由付けなのだろう。今夜母を交えて食事においでと誘われたので、楽し…