2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ベクトル

ある県の、ある大学の、ある学部に通っているある男子学生に漢方薬を送っている。いつも電話で症状の報告を受けるのだが、症状以外の会話も少しする。昨日の電話で分かったのだが、彼は人もうらやむその学部に最高点で入り、今も首席を保っているらしい。 あ…

無関心

今朝、ある方から病院の薬や自分の症状についての質問を受けた。別に僕が直接タッチする事を期待しているのではなく、医者にも、門前薬局にも尋ねにくかったので、尋ねに来たらしい。僕にとっては極日常の業務でしかないので事務的に知っている範囲の答えを…

母の里へ行くには、金甲山と言う山の峠を通らなければならない。かなり急な上りが峠を挟んで数キロ続く。今日おばに漢方薬を届ける為にその道を車で走っていたら、自転車を降りずに懸命に漕いでいる高校生とすれ違った。かなりの脚力がある学生だろう。日曜…

花火

季節に関係なく数発の花火が上がると、海辺のホテルで結婚式がある。数年前から始まったと記憶しているが、今では慣れてしまって、音がするたびに外に出るようなことはない。華やかな儀式が、花火の下で行われているのだろうが、部外者にとっては、信号が赤…

3階から、何気なく駐車場を見下ろしていた。以前畑だったところに土をひき、車が数台利用している。何気なく見ていたはずなのに、僕はある物をずっと見ていた。僕の視線が捕まえたのか、視線が捕まえられたのか分からない。草の中から、茎を高く伸ばした白…

Drコトー

ドクターコトと言う番組を見終えたところだ。何故あの番組が視聴率が高いのだろう。いろいろ要素はあるのだろうが、見ていて心地よいのは、主人公が権威を捨てているところだろう。舞台も都会ではない。建物は小さく、高級車に乗るのではなく自転車をもっぱ…

男らしさ

今月、初めて薬をつくた人達の中で一番気になっていた若い男性が今日薬を取りに来た。2週間分渡していたが、17日ぶりにやってきた。詳細は店頭日誌にでも取り上げてもらおうと思っているが、僕は若い男性の受けているプレッシャーが痛々しいのだ。男性だ…

黒豆

四国で幸せに働いている貴女に。今日お母様から貴女の伝言を聞きました。そうですね、僕の心は曇天の空の下でうつむいている冬景色のようです。見えみえなのでしょうね。隠すつもりはありません。幸せ過ぎる僕から貴女方に役立つような処方は出てこないでし…

マッサージ器

大きな電気屋さんに展示してあるマッサージ器に座っていい気持ちになっていたら、店員さんが傍に腰を下ろし、色々説明をしてくれ出した。中年のおばさんで、優秀な社員なんだろうとその電気屋さんが羨ましく思えた。商品に精通していたし、是が非でも売って…

僕(しもべ)

あなた方も知っているように、異邦人の間では、支配者とみなされている人々が民を支配し、えらい人が権力を振るっている。しかしあなた方の中ではそうではない。あなた方の中でえらくなりたい者は、皆に仕える者になり、一番上になりたい者は、すべての者の…

隣の席

いつも数人の男と行動を共にしていたから、全く自由だった。何故か同輩に気のあった人間がいなくて、先輩と後輩だった。アパートは3畳一間に、刑務所のような洗面器が1つあっただけだ。30人くらいのアパートに小さな風呂が2つあっただけなので、順番を取るの…

なんとなく

なんとなく1日は始まり なにげなく1日は過ぎ去り なんとか1日は終わる そうかと1日は始まり そうかなと1日は過ぎ去り そうだと1日は終わる こうしようと目がさめ そうしようと1日頑張り ああしようと眠りにつく どこに行こうかと目がさめ そこまで行ってみよ…

半額引き

僕は買い物が苦手だ。だから僕の財布の中にはお金は必要なくて、硬貨が幾枚か入っていて、運がよければ千円札が数ヶ月使われることがなくそのまま留まったりする。 夜の10時を回った頃のスーパーでは、独身男性が、売れ残り、半額になった弁当を物色する姿…

痛み

僕自身が頚椎ヘルニアだし、何人かの治験例を持っているから、彼もきっとよい効果が出るだろうと煎じ薬を作った。まず手始めにと思い1週間分渡したのだが、効果は全く現れなかった。かなり強い痛み止めを又延々と飲まなければならないのかと僕も思ったし、…

ガス型

過敏性腸症候群のガス型の若い女性を世話させていただいて、完治を目標に出来るところまで来たので彼女の了解をとって、メールをそのまま引用させていただく。ガス型の人は思考の迷路に陥っているので、実際に経験した体験談の方が説得力があるのかもしれな…

脱出

ある寒い冬の昼下がり、幼い女の子が、ご飯にもあずかれず、街の通りで物乞いをしていた。それを見た男が「神よ、何故こんなことを許しているのか」と尋ねた。神から日中に返事はなかった。しかし夜に神から返事が来た。「私は、女の子の為に、おまえを作っ…

秋刀魚

静岡県からやってきた過敏性腸症候群の女の子が今日帰っていった。今回の彼女の目標は、泊まること、そしてガス漏れが起こっていないことの確認。この2点だ。 彼女が牛窓にやってきたのはこれで3回目だ。1回目は、新幹線のデッキに立ってやってきた。牛窓…

男やもめ

老いて妻をなくしたその人は、ワンマン経営者の面影はすでになく、虚空を見上げるよな空ろな視線で、見失いそうな言葉を拾う。言葉は断片の連続でつじつまを忘れている。断絶した回路に翻弄されながら懸命に社会の動きについていこうとするが、後ろ姿は遠く…

若者

サニクリーンと言う玄関マットやモップや雑巾をレンタルする会社がある。店舗を持っているているものにとっては必需品の感があるからもう随分長いことお付き合いをしている。営業マンが時々替わるのだが、替わっても替わっても好感が持てる青年がやってくる…

大うそ

静岡県の女性と、関西の女性が接触をしてくれた。お互い過敏性腸症候群のガス漏れタイプで学校を休学したり、辞めたりしている。ガス漏れの思いこみは二人とも激しかったが、今はかなり克服してくれていると思う。メールのやり取りか電話での会話か分からな…

ホウ酸団子

日曜日、出先に家から電話がかかってきた。特別養護老人ホームの入所者の老人が、ホウ酸を溶かした液に浸けた脱脂綿を口に入れてくちゃくちゃ噛んでいたそうだ。心配した看護師さんが電話をしてきたらしい。おそらく目を洗うために作ったホウ酸水だから、5…

一緒に治れ

過敏性腸症候群で苦しんでいた静岡県の若い女の子が「怖いくらい治ったから自分のことを話題にしてもらってもいいですよ」と言ってくれた。ほとんどの人は下の話を封印してしまうが、苦しみが大きかった分、長かった分、彼女は同じ苦しみの人を救いたいと思…

もこみち

僕には、声だけの患者さんが結構いて、神秘性ゆえに常に新鮮な関係を保っている。その方々はどうか分からないが、僕は内容は勿論だが、話し方、話し声などに想像力を働かせて情報を得ようと努めている。それは恣意的なものでなく、多くの方も日常で自然に行…

落ちた満月

今日、キリスト教の勉強会で、神様についてのイメージを語ってくださいと神父様に言われた。入門希望者6人の集まりなのだが、僕以外はかなり熱心で、聖書も熟読している。僕は勉強会で必要なところを数行目を通すだけだから、もっとも程度が低い入門希望者…

転換点

いつもは使うことのない3階の部屋で、10代の女の子が今眠っている。過敏性腸症候群の相談で県外から来た子だ。お母さんと一緒に来たが、お母さんだけ帰ってもらった。実際にはない症状で苦しんでいる彼女を治すのは、漢方薬半分、客観的な事実半分と思っ…

「あの頃は、全員が敵だと思っていた」若い女性の患者さんが言った言葉だ。おそらくそうだったのだろうと思う。最初に来た時は、不信感の塊だった。しかし、一縷の望みを抱いて決死の覚悟でやってきたのだろう。 その彼女が旅行に行ってお土産を買ってきてく…

波の音

長靴を履き、傘をさして歩いてきた。意外と大きな雨だったので人には会わないと思い、中学校の入り江沿いの遊歩道を歩いてみた。1日中、人と接している仕事なので、仕事が終わってまで人に会いたくない。案の定誰も歩いている人はいなかった。入り江には沢山…

下り坂

職業柄、「ストレスはないですか?」と尋ねる事が多い。質問を発しながらも、自分で愚問だと思う。ないと答える人などいないから。ところがこれがいるのだ。どうだろう1年に一人もいないと思う。数年に一人くらいだろうか。今でもないと答えた人の顔が浮かぶ…

インスタントラーメン

今、勇気を出してコンビニに、インスタントラーメンを買いにいって来た。もうどれくらい食べていないのか分からないが、一昨日コンビニに行ったとき見つけて、食べてみたくなったのだ。サッポロなんとか言うやつで、86円だった。10年か20年か30年かぶりのラ…

水晶玉

夕方、あるメーカーのセールスがやってきた。薬の会社ではかなりの大手だ。いつもは暇なのだが丁度彼がいた時間、何故か多くの方が来てくれて、結構僕はてんてこ舞いだった。その姿を見ていたのだろう、帰る前になって矢継ぎ早に質問をしてきた。おそらく2…