落ちた満月

 今日、キリスト教の勉強会で、神様についてのイメージを語ってくださいと神父様に言われた。入門希望者6人の集まりなのだが、僕以外はかなり熱心で、聖書も熟読している。僕は勉強会で必要なところを数行目を通すだけだから、もっとも程度が低い入門希望者なのだ。それぞれ、愛、雲の上の存在、力、などなど言っていたが、僕はサッパリ分からないと答えた。なにのイメージも浮かんできませんとも答えた。すでに半年勉強してきたのに、これでは申し訳ないが、事実だから仕方ない。神父様は何故か僕に何度も確認された。そのたびに勉強不足で申し訳ないがサッパリ分かりませんと正直に繰り返した。ところが神父様は僕の答えにとても興味をもたれた。なんと、誰も見たことも聞いたこともないのだから、分からないのが本当だと言う。無知や勉強不足がこんな場所で役立っても仕方ないのに、正直に答えた自分を一人で評価した。帰りはもう真っ暗で、バイパスの上に落ちた満月を追いながら車を走らせた。皆からかなり送れた勉強の進展ぶりだが、飾らないで、ありのままを示せたことに満足できた1日だった。