2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

赤とんぼ

隣の土地が手付かずで荒れて雑草が生い茂っていた頃だから、もう10年近く今日見た光景にお目にかかっていない。何かの用事で夕方裏に出てみると、赤とんぼが群れをなして飛んでいた。すごく建物の近くだったので最初は何かわからなかったが、すぐにいつか…

父親

今日はうれしい電話を数本頂いた。症状が改善してくれた人が報告をしてくれたのだ。その中で、過敏性腸症候群の完治が近い高校生からのものを紹介する。勿論プライバシーに関することは、一切報告できないし、その必要もない。ここで敢えてその高校生を取り…

まだ見ぬ君に

まだ見ぬ君に。 泣きたいくらいつらいよね。こんなに真面目に、こんなに頑張っているのに、お腹が痙攣してしまうんだよね。ここ一番に限って、お腹が痛くなるんだよね。手を抜いたり、蔭でこそこそするのが苦手だから、一所懸命頑張ってきたんだよね。でもも…

異常

去年、人間ドックで検査を受けた人の中で異常がなかったのは11.4%だけだったらしい。10人検査を受けたら9人異常ってことだ。要は、人間ドックで異常が出なければ異常だってことだ。9割の人が不健康なのに、健康でおれるなんて余程度胸が据わってい…

免疫

娘が幼い時に焼肉屋さんからもらってきた赤ちゃん犬が、今では老犬になった。散歩しても躓くことが多いらしいし、僕が近寄っても分からずに触って初めて驚いて飛び起きたりする。もう二年くらい、目の周りの毛が抜け落ちてパンダみたいになっていた。そんな…

人は富みや権力を手に入れると、大きな門を作りたいらしい。僕のような小さな町でも、旧家と言われる家には立派な門がある。又は残っている。日本の城やパリの凱旋門などはその最たるものなのかもしれない。当時の庶民なら、その下をくぐる時には嫌でも己の…

能力

僕にもう少し能力があればなあと、思うような人が今日は集中して訪ねてきてくれた。勿論お手伝い出来ることはあるから全員漢方薬を作って、共同作業のスタートを切った。 週末の解放された空気のこの町の小さな薬局にやってきてくれて、体に抱えたトラブルに…

カラス

何かを象徴しているのだろうか、何か良くないことが起こるのだろうか、これは人間の勝手な想像で、とうのカラスにとっては、単に仲間と一緒にどこかへ飛んでいっただけなのかもしれない。 午後4時頃、何気なくパソコンから目を離し外を見ると、空のほんの一…

今朝まだ暗いころ、急に雷が鳴り出した。久しぶりに聞く雷鳴のような気がした。梅雨に入るころ、梅雨が開けるころ、季節の扉を開くかのように鳴っていた雷に秩序がなくなったと思うのは素人の僕だけだろうか。これで梅雨に入る、これで夏がくる、老人達の会…

獣道

僕は皆さんに問診する時に、やる気、根気、元気はありますか?としばしば尋ねる。ところが僕自身は、2番目の根気が全くない。かなり最近それに気がついた。なぜなら、僕はひとつの作業を続けて出来ないのだ。内容によるが、興味がないものや不得手なものな…

異邦人

窓ガラスに 器用にしがみついている 6本の足 うなだれて通りすぎる少女の 消こえない足音 隔絶された空間に 迷い込んだ命の泣き声 賛美歌の流れる街に 夏は落ちていく 知識欲に眼光は輝いて やがて迷路を従える 空はどこまでも青く まぶしいままだ 祖国を背…

青春の落とし穴

今日、自分で納得出来るくらいに回復した青年から、漢方薬の卒業の連絡があった。一番うれしい瞬間だ。この瞬間を求めて、薬を作ったり、情報を交換したりする。これがあるから、又頑張ろうと思えてくる。 これからは、法律を犯さない範囲で、人を傷つけない…

最終章

今日は母を里へ連れていった。里と言っても勿論両親なんているわけでもないが、義理の妹と、その子供たちの家族が住んでいる。県南には珍しく、山深いところで、谷あいを走る県道をクネクネと曲がって車を走らせる。僕はしばしば通る道なので気がつかなかっ…

知性

2週間ごと、夫婦で股関節の漢方薬を取りに来る人がいる。問診が終わり雑談をしている時に面白い話を聞いた。結膜炎の目薬も下さいと言うので、目の症状を尋ねていたときのことだ。 数ヶ月前に、ある眼科にかかったそうだ。受付で症状を言うと、奥から医師が…

不都合

気力が萎えたのか、体力が衰えたのか分からないが、今年の夏初めて、クーラーをつけて眠った。去年までは、寝る時にクーラーを使ったことはない。窓を全開して、戸外の冷気にあたりながら眠れたのだが、今年は暑さで目が覚め、そのまま寝つけない。悶々と暑…

結婚

過敏性腸症候群の相談で近隣の市からやってくる子がいる。今日その子と話して感じたことをひとつ。 話の中で「結婚している人もいるのですね」と、彼女が言った。彼女は、この病気で英語の先生になるのをあきらめた子だ。教育学部に行きたかったのだが、おそ…

昔は、8月15日の夜には各々の家庭が、勝手に精霊流しをしていた。海辺の町だから、石段を下りて藁で出来た船に蝋燭の明かりをともし、果物などを載せ沖に押し出す。祖父が何やらお経を唱え、海面に水をまいて儀式は終わっていた。幼い心に訳は分からなか…

懸念

妻が良く面倒を見てあげている老人がやってきた。調剤室から僕は二人のやり取りを聞くとはなしに聞いていた。耳が少し遠い老人は大きな声でいつも話すし、妻もそれに応えて大きな声で話している。僕は話の内容や、老人のいつもとは異る話しぶりに、驚いて、…

目標

それでもなおかろうじて人生の目標を持っていたのは、高校生、いや浪人時代までかな。いやいや、浪人時代はほとんどその目標も色あせて、いわば自壊の始まりだったのかもしれない。目標を持つと、それなりのエネルギーは沸いてくるのだが、もうその種のエネ…

オートバイ

お盆休みを利用して旅行中か帰省中か分からないが、県外ナンバーのオートバイが、爆音を残して追いぬいていく。カーブで巧みに体を倒し、加速しながら曲がっていく。おそらくオートバイの一番ダイナミックな腕の見せどころなのだろう。 ああ、これはやってこ…

たなご

さすがに海辺で育っただけあって、僕は魚が大好きだ。瀬戸内の魚は派手ではない。大きな魚もいないし、全国に名を轟かせるような魚もいない。でも、どれを食べても美味しい。その中で僕のおすすめは「たなご」だ。チヌ(黒鯛)を小さく優しくしたような魚で…

嘗て、僕の薬局を担当していたセールスが、代理で配達にやってきた。数年間担当してもらっていた彼が感慨深げに言ったのは「この辺りを回っていた頃は、本当にやりやすかったです。皆親切でしたから」と言う感想。どの辺りと比較しているのかと思い訪ねてみ…

一昨日、我が家の長女みたいな女性が関東の方に帰っていったかと思うと、今日は末娘みたいな女性が西の方からやってきた。この女性は、以前日帰りでやってきたのだが、今日はしっかりと泊まれる荷物でやってきた。他人の家に泊まるのは初めてらしい。もうこ…

寄り道

子供が親に無条件に愛されるってことは、実際にはかなり難しいのだろう。実際に腹を痛めた母親だって、母性が育たないのに、ある日突然やってきた赤ちゃんを、父親が愛せれるはずがない。親が確かな人生の価値に向かって努力しているならいざ知らず、親は親…

要望

特別養護老人フォームに調剤した薬を60人分届けて、娘が帰ってきて開口一番に言ったことは、「もっと話してみたかった」だった。痴呆の方や、体の自由を失った方が入所される場所だが、そこにはまだ人権は十分あり、とにかく世話をする若者達がとても生き…

言葉

関東から、今日2泊3日である女性が訪ねてきてくれている。今まで来てくれた人達と異なるのは、彼女はすでに克服した人だってことだ。今までの人達は、症状が最悪の時に訪ねてきてくれている。だから、話しは勢い、症状の説明、背景、原因究明、処方などと…

学会

息子は、車で1時間の距離に住んでいるが、滅多に帰ってこない。忙しいのもあるが、帰ってもすることもないのだろう。12年間で1日も我が家で寝たこともない。でも、それはそれでいいのだ。僕は彼がどのくらい多くの人の役に立てれるかを基準に、援助して…

花火

花火は背中で見るものだ 花火は背中で聞くものだ 路地裏に 逃げ込むように隠れても 花は背中で咲き 雄叫びは牙をむく 10円盗んで 刑務所に入り 100円盗んで 白を切る 人の流れは 石炭から立ち上る二酸化炭素 立ち往生した信号機に 血に飢えた蚊がさばる…

娘が今やっとメールの返事を終えたので、僕がパソコンを使えるようになった。栄町ヤマト薬局で、丁度1週間娘が仕事をしたことになる。さすがに日本で一番大きい調剤薬局で鍛えられたお蔭で、病院の薬を作るのはなかなかたいしたもので、落ち着き払って対処…

荒らし

町はざわつき、その後息をのむ。数年前の台風のトラウマから、顔を見合せば「台風はどう?」。誰もが天気予報を詳細に見ていて、よく知っているくせに、少しでもいい情報に飛びつきたいから、安心を求めて口にする。本当は、耐えなければならない事はよく知…