花火

花火は背中で見るものだ 花火は背中で聞くものだ 路地裏に 逃げ込むように隠れても 花は背中で咲き 雄叫びは牙をむく 10円盗んで 刑務所に入り 100円盗んで 白を切る

人の流れは 石炭から立ち上る二酸化炭素 立ち往生した信号機に 血に飢えた蚊がさばる 人生を下る人に 花火は重たくて 暴走族のエンジン音に 漁船のレーダーが嘔吐する

用意された季節 演出された魂 行列は南に下り 海に落ちる 倒立した数字に さまよう号泣 人は皆 落ちる前に羽ばたく まるでウミネコのように