2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

先入観

「わたしゃ、今は我慢しているけど死ぬ前には全部あいつに言って死ぬ」初めはちょっとした会話だったのだが、最後はヒートアップして通りの向こうまで聞こえそうな声と笑い声で締めくくった。 お年寄りだと決めつけて、思考力が落ちているとか、感受性が鈍い…

文学少女

何処の薬局でも同じかもしれないが、患者さんに待ってもらう負担を少しでも軽くする工夫は永遠のテーマだ。特に僕の薬局の場合、初めて相談に来られた方の煎じ薬を作る場合はかなり待ってもらうことになる。色々知恵を絞って工夫しているが、時に文庫本を持…

命がけ

人は本心と違うことを口に出す時にどうやら大袈裟な表現を使うらしい。政治家なんかはその代表みたいな存在で、良くもあんな事を言って平気でおれるなって感心する。面の皮の厚さは尋常ではない。そのくらいでないとあの世界は渡っていけないのだろうが、や…

エール

薬剤師の風上にも置けないと言われても仕方がない。思った通りを言ったまでだ。 牛窓に帰ってきた頃からやたら彼女に保険を勧められ、その熱心さに一度は加入した。30歳頃から漢方薬を本格的に勉強をし始めた僕の実験台になってくれた初期の頃の人だ。その…

凶器

拝啓 ○○様 僕は田舎で薬局を開設している薬剤師です。30年以上この職業に携わって思うことがあるのです。その思うことが今の時勢と重なってしまうのです。無学な一薬剤師が薬局内で感じ続けてきたことが、そのまま社会で通用するかどうかは分かりませんが…

素人

良かったのか悪かったのか知らないが、結局今でも料理人をしている。僕が牛窓に帰ってきた頃からの知り合いで、年齢が近いからか、彼が医療、特に東洋医学に興味を持っていたからか、ずっと親しい間柄でいる。 彼には大阪で評判の柔道整復師の叔父がいた。そ…

忍耐

その種の番組に、10秒も僕はチャンネルを止めておくことが出来ないのだが、やたら馬鹿芸能人が集まってものを食べているシーンが多い。ものを食わせて素人並のくだらない話をさせ番組もどきに仕上げればスポンサーが付いて商売になるのだから、努力や工夫…

フットサル

熱心なようで熱心ではない、無関心なようで無関心ではない。ほどほどの感じがよい。このお母さんは数年前に薬局に入って来るなり「早く来てみたかったんです」と嬉しくなるような言葉をかけてくれた。漢方薬に興味があって、本当の漢方薬を飲んでみたかった…

色黒

幼い時から色白で、蛍光灯などと兄からあだ名を付けられていたから、未だコンプレックスの筆頭にこのことがある。 「一気に黒くなったね」とカウンター越しの男性に僕が言う。本当にこの数日で別人のように日に焼けている。元々色黒の人だから、僕のように赤…

爪切り

ありがたい、ありがたい。何の努力もせずにこんなに笑わせてもらって。おまけに1300円もお金を頂いて。この全身の筋肉の緩みようだとこちらがお金を払いたいくらいだ。 薬局の中に僕も含めて5人がいた。ずいぶんと回復はしたがもう少しだけ心が明るくな…

姉御

仲間から「姉御」と慕われているある女性と、よその町のショッピングセンターで偶然会った。駐車場から出ようとしている僕のちょうど前に彼女が運転している車が入ってきたのだ。助手席にはご主人が深々と腰をかけていて、いつものパターンだ。何故かしらい…

試行錯誤

「お疲れ様です○○○○です。私なりにどんな時にパニックが出るのか向き合いながら過ごしていたのですが、多少ある運転への不安を強い自意識がより増幅させている事に気付き、それからは自分を受け止め自分に寄り添うように運転中を過ごしています。まだまだド…

死語

アメリカのハーバード大学などの研究チームの発表だからかなりの信頼性がある。だとしたら、それは悲しいことでもあり、残念でもあり、憤りでもある。 最近存在が珍しくない注意欠陥・多動性障害は、有機リン系の農薬を低濃度でも摂取した子供がなりやすいと…

作業

天気予報が伝える気温はまるで初夏のものだったが、僕は顔や背中に当たる太陽の光がまだまだ春のもののように感じた。こうして太陽の下で作業をすることなどもうずいぶんと長い間したことがなかったので、まるで冬眠から冷めた動物のように、ためらいがちな…

真剣勝負

もう完治して連絡は全くないが、お嬢さんの過敏性腸症候群の漢方薬を注文してくるのがお父さんのお家があった。勿論お嬢さんは高校生だったから、自分で症状の説明などもしてくれたのだが、お父さんの登場はとても珍しいケースだった。僕は最初にお父さんか…

前駆症状

あるお医者さんの調査結果なのだが、とても興味深かった。と言うのは、最近急増している、いや人為的に増やされている懸念もないではないが、まあそれはおいといて、鬱病には先行して様々な不快症状が現れていたって言う内容だ。1年間で鬱病の診療が開始さ…

霊感

60歳を過ぎた女性のひいばあさんと言えば、明治の人だろうか、まさか江戸時代の人ではないだろう。いやひょっとしたら江戸時代の可能性もないではない。 僕が牛窓に帰った頃から知っている品がありおとなしい女性が薬を手渡した後、恐ろしいような話を始め…

民間薬

訪ねてきたのが全員田舎の素朴そうなおばちゃん達ばっかりだったので、まんざら嘘には思えない。 その朝数人から同じ内容の電話があった。ある民間薬がないかという問い合わせだった。全員が隣の町の人達でまるで示し合わせたようだった。スーパーなんかでも…

吐露

これは漢方薬の限界を超えているから、医者に行って血圧の薬をもらった方がいいよと言うと、渋々行ってくれることになったのだが、処方せんを持ってきてもいいかと言う。僕の薬局も一応調剤薬局だから構わないのだが、わざわざその為だけに又岡山市から来る…

危惧

今日、面白い便りをもらった。もうこんな危惧を抱かれる年齢になったのかと、あるいはやっていかれなくなるほど暇な薬局に見えるのかと、どちらにしても心許ないのだろう。 「お久しぶりです。○○県の○○です。最近彼氏とうまくいってます!以前の自分だったら…

過敏の星

嘗て織田裕二主演の「県庁の星」と言う映画があったがさしずめ彼女は「過敏の星」なのだ。 どの様な規模の会社の、どの様な部署で働いていたのか分からないが、この春突然に秘書に抜擢された。今は会社の中枢にいて良いことも悪いことも色々なことが見えてし…

ラクロス

柔道にプロレスに野球にそれからまだあるのかな。スポーツの番組かと思っていたらなにやら国を動かす偉い人になりたいらしい。まだまだ同じような人は梅雨までには出てくるかもしれないが、できればセパタクローとか、テコンドーみたいなマイナーなものがど…

理解

今日も玉野教会のキム神父様のパクリ。こんなにいい話は独り占めにするにはもったいない。英語に堪能な方は知っているだろうが僕はさっぱりだから良い話を教えて頂いたと一人感激している。 英語のunderstandは理解するという意味だが、その言葉の…

棒グラフ

長い間、運良く経済が成長してきたものだから、人の心や行いまでも同じような指標で測ることに慣れてしまったのだろうか。右肩上がりが当然のような時代があったものだから、人の精神までも同じようなことを期待される。競争、成果、成長、効果、過程、目標…

夜陰

聞いたぞ、聞いたぞ、聞いてしまったぞ。 夜陰に紛れていつもの散歩に出た。薬局の前の水道工事は佳境に入っていて、大型機械が夜の間も撤去されずに放置されたままだ。それをガードマン二人が交通整理しながら守っている。東西に二人別れて、トランシーバー…

トラックバック

まさか倉庫の前でもあるまいし、パソコン画面の中で何故トラックがバックするのか分からない。ダンプやバスや救急車ではいけないのか。 ブログにそっと挨拶を送って下さる方がいる。元々以前世話になっていた薬剤師に段取りをしてもらって訳も分からず文章を…

悠々

おおらかなものだ。悠々としているとはこのことか。言葉も態度もしっかりしているから若くは見えるけれど、ひょっとしたら90歳に手が届いているのかもしれない。祝日の今日、薬局が開いているかどうか電話で確かめてからやって来た。 水虫の薬がいると言う…

手招き

「小児喘息だった頃を思い出してます。 孤独で苦しかった頃を」たったこれだけの文章の中に、どれだけの思いがこもっているのだろう。呼吸が苦しくて息も絶え絶えに遅い朝を待ったのだろう。誰に訴えても、誰を恨んでも仕方ないことも幼い心で分かっていたの…

城山

城山と書いて「じょうやま」と読む。沢山のおむすび山に周囲を囲まれ、手を伸ばせば数匹のウサギ雲に手が届きそうだった。見下ろせば川沿いに急ごしらえで連結された色違いの電車が行き先不明で警笛を鳴らす。川から山肌を伝って吹き上げる風は、慌てて5月…

運動靴

今日、玉野教会のミサでキム神父様に教えて頂いたエピソードなのだが、連休中の浮ついた心を一瞬のうちに見破られた感じがした。 インドの偉大な指導者ガンジーがある時列車に乗り込むときに、片一方の靴を線路に落としたそうだ。拾いに降りる時間もなかった…