過敏の星

 嘗て織田裕二主演の「県庁の星」と言う映画があったがさしずめ彼女は「過敏の星」なのだ。  どの様な規模の会社の、どの様な部署で働いていたのか分からないが、この春突然に秘書に抜擢された。今は会社の中枢にいて良いことも悪いことも色々なことが見えてしまうなどと近況を教えてくれたりしているが、当初は勿論不安ばかりだった。僕は彼女の実像を知らないが、恐らく例の「過敏性腸症候群になったからこそ」の人間性を買われたものと信じている。だから彼女の不安そうな姿こそが又上司の信頼を得ているに違いないと思っていた。だから僕は彼女の抜擢に関して極めて楽観的だったのだ。だから喜びの内容の返信ばかりを送ったような記憶がある。大した助言もいらないと思っていたし、助言めいたことも言っていない。そんな彼女が今日、以下のようなメールをくれた。僕が全く介入していないところで自分で気がついたのだ。自分で自分に言い聞かせているような文章だが、こういった気付きの積み重ねで又1歩落とし穴から這い上がっていく。この文章の掲載は了解を得ている。

やまと薬局 様 こんばんは。楽しいGWも終わり、昨日の休みはまるでうつ病になりそうな自分でした。どうしてあの人は、あんなこというんだろう。なんであの人は、あんな怒り方するんだろう。なんで自分は、うまく人と係われないんだろうって、ずっと頭の中でぐるぐる同じこと考えてた。このままでは、精神的にヤバい!と思ってある方の本を読んだら、ころっと心がかわることができたんです。「自分にいやがらせをしない人たちに対して感謝が足りないんだ。感謝を教えてくれたのは自分にいやがらせをしている、あの人なんだ。あの人が自分をめざめさてくれた」じっくり考えてみたら、みんなちゃんと仕事を教えてくれるし、意地悪なことないし、いい人たちだと思えました。やっぱり「自分は嫌われてる。ガスが出てくさいから」と思いこんで自分で自分に壁をつくってた。自分に自信がなくおどおどしてて声も小さく、笑顔もひきつってたかも。客観的に見たら、あやしかった。(笑)「自分に感謝が足りない」と分かった時、職場のみんなに心から感謝するのと同時に、心が開いた気がした。そしたら、素直に人と接することができました。そしたら、ガスのことなんて二の次で楽しくおしゃべりすることがでたんです。やはり人間って、素直に楽しく話かけてもらえば同じように返す。ガスが出て、言われたことにこだわりすぎてた自分に気がつきました。いつまでも相手の言ったことや叱られたことにこだわりすぎてたら相手は自分の壁を感じて、ますますお互い壁が高くなっていくんだと。まさに相手は自分を映す鏡。悪口や叱られたこといつまでも思ってるより、楽しいこと考えたほうがよっぽど人生、楽しい!