2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

餌食

遠く雪国で、お墓の管理小屋で暖を取っていた人達が、一酸化炭素中毒で亡くなったり意識不明になっていると言うニュースを聞いて、僕はすぐに放射能がまき散らされた所で未だ暮らす人々のことを思った。一酸化炭素は無色で無臭だ。触ることも出来ない、見る…

別物

似て非なるものだと思った。今まで30年近く漢方薬を勉強してきたが、同じ生薬を扱っても、中医学というものと僕らが業としている漢方は別物だった。 舌を診て処方を決めていくのだから、医師に向いていると思った。医師が中心の勉強会だったのだが、こんな…

アグネスラム

およそ35年ぶりだ。浦島太郎までは行かないが、その変貌ぶりには驚いた。いちいち上げればきりがないが、一言で言えば浦島太郎に居場所はなかった。 僕が入っていった時、若い制服姿の男性が深いおじきと共に「いらっしゃいませ」と挨拶をしてくれた。他の…

旧正月

律儀な方もおられるもので、数日前、薬局に入って来られるやいなや「明けましておめでとうございます」と言われた。まさか20日以上すぎてそんな挨拶をされるとは思っていないから、ほとんど不意打ち状態だ。だからとっさに返す言葉に迷ってしまう。明けま…

ウシガマヤゴム

岡山県南もインフルエンザが流行りだしたみたいで、ある女性が数日間、お孫さんのお世話をしたらしい。世話と言ってもそのお孫さんは、クラス閉鎖になったから外出を禁じられて家から出られずにストレスを溜めていただけらしい。何をさせようか毎日が大変だ…

硬貨

会計の時、出された硬貨が冷たい。近所の人だから何かの都合で、遠回りして歩いてきたのかと思った。時々冷たい硬貨に接することがあるが、ほとんどは外で働いていた人や、遠くを歩いてきたり自転車やバイクで来た人ばかりだ。 「どこかへ行っていたの?」と…

雪花

今朝、この冬初めての氷が張った。と言っても、なにぶん温暖な地だから、今日が最初で最後かもしれないのだが。昼には雪が横殴りに降り出した。これもこの冬初めてのことで、最初で最後かもしれない。この地方独特の表現か共通語か知らないが、薬局にやって…

無茶

そんなことが実際にあるのか、出来るのかと思うが、嘘を言うような子ではないから、事実なのだろう。その為には作っていないが、偶然飲んでもらっている漢方薬がそちらの方面にも役に立っているのだろう。 僕はコックさんの世界を全く知らない。そもそも男性…

葉書

葉書には格好良くギターを抱えている姿がモノクロで写っている。歌手の名前を聞いてすぐに誰だかわかった。昔、薬局の2階でライブをしたことがある九州出身の歌手だ。もう何十年たったのか分からないが、ああ、あの時の青年が今こんなになっているんだと感…

別人

結局はその詩を、その人には見せなかった。 まさか米原出身の人が、僕の薬局に来てくれているとは思わなかった。お嬢さんの皮膚病から始まって今はご本人の世話をしているが、10年くらいは通って来ていると思う。出身地の話をするほど親しくはないが、と言…

先人

世界的に有名な大学の留学経験が華麗な経歴の中でも一際光っている。僕など足元にも及ばないし、ほとんど後光が差している。花の都の大東京で実費による漢方診療を行っていたはずなのだが、いつの間にか他県の勤務医になっていた。とは言っても偉い人には間…

円卓

朝開いたメールに以下の文章を見つけて、とても気持ちよく1日を始めることが出来た。確率の仕事をしているから、この様な結果ばかりが届くはずはないが、届くメールの7割がこの種のものであるように、知識や経験を蓄え続けなければならない。 会ったことは…

常識

真顔で驚かれたから驚いた。一瞬言葉の行き違いかと思ったが、パソコン画面のユーチューブの映像を見ながらだったから、間違いはないだろう。その時の二人はまるで落とし穴に落ちたような迂闊ぶりを照れていた。 「えっ、ニホン ワニイナイデスカ?」「あた…

警鐘

ノーカットというふれ込みが面白くて何の先入観なしにそのインタビューを見た。インターネットだけで見られたのか、それともテレビでも見られたのか知らないが、途中1、2度、吹き出すほど面白かった。 総じて痛快だった。報道陣に媚びることもなく、まして…

理不尽

正月が開けて日常が又始まったが、新しい年に希望を持って仕事に復帰した人ばかりとは言えないだろう。あるセールスもその中の一人かもしれない。そしてそれが平均的な職業人の姿か、あるいはまだ幸運にも少数派かは分からない。 年末のボーナスの査定が思い…

転落

同じ日に3人が、ある男性を最近見かけなくなったと言った。実は僕も同じことを思っていた。又あそこへ入ってしまったのかと思っていたら、その中のある女性は「入院でもしているのではないの」と言った。そう言われれば健康によいことなど微塵も行っていな…

光景

それはなんとも言えぬ心温まる光景・・・なのだろうか。夕方から見ていたNHKテレビで同じ町の暮れから今日までの二つの光景が放送されていた。 その町はあれから急に有名になった。それ以前には聞いたこともなかった。もっとも東北地方は、西の人間にとっ…

暗黙

手術をしてくれた先生が「どうしてそんなに良くなったの?」と尋ねたそうだ。 この女性はもう2年間くらい半月毎処方せんを持って来ている。脊椎間狭窄症の手術をしたのだが、調子が幾分かでも良かったのは術後数ケ月だけで、その後は痛い痛いの繰り返しで、…

気後れ

若い女性の胸辺りを断ってから触らせてもらったが、特別な感触はない。次に指でつまんでさするようにしてみたが、どこにでもあるような素材の感触でしかない。それこそ初めて触れるものだから、どんなに未知の感触かと思ったが、未知と言うよりどちらかと言…

たらい回し

これはなかなかお勧めの撃退法だ。 盆と正月にしか帰って来れない弟にとって、このところの母親の衰え様は耐えられるものではないのだろう。つい2年前くらいは町一番の元気で長生きを証明していたような人だが、このところその分野での一人勝ちは怪しくなっ…

哀れなものだ。結局は相手にされていないのだ。言い方を変えれば見殺しにされているのだ。人を小馬鹿にしたようなしゃべり方をするから、どこの病院の医師も相手にしなかったのだろう。その気持ちは分かるし、医者ではないが僕も同じだ。寧ろ僕の方が薬剤師…

ターゲット

田舎だからと言うわけではないだろうが、多くの人に助けられて漢方薬の腕を磨くことが出来た。一般的には、漢方薬は長く飲まないと効かないと言われているが、僕自身は効果がないのにダラダラと漢方薬を飲んでもらう器量も名声もなかったから、すぐ効く処方…

気兼ね

昨夜寝る前から、明日はどうして過ごそうかと考えていた。一言で言うと何もすることがないのだ。世間並みに祭日は休みにしているが、困ったもので何の予定もない。したいこともしなければならないこともないのだ。行きたいところも行かなければならないとこ…

食い逃げ

そうかやっぱりな。「さしあたって健康被害はない」とあの頃言い続けていた男は、結局東電から金をもらっていたんだ。だから、危ないなんて口が裂けても言えなかったのだ。分かりやすいものだ。ほとんどの行政がこの種の範疇から出ないだろうから、単純明快…

遠吠え

ラッキー。こんなことで評判がとれるならすぐにでもカリスマ薬局になれる。 長年仕事に行く前になるとお腹が痛くなる男性が、長いことかの有名な大正漢方胃腸薬を飲んでいた。ドラッグで勧められたのか、テレビのコマーシャルを見て買ったのか知らないが、随…

口癖

ほぼ2年間、熱心に2週間毎に通ってきてくれたから僕の口癖が移ったのかもしれないが「教えまくって下さい」と笑いながら言ってくれた。 僕の薬局人生で、生いたちやその後の境遇の過酷さで、この女性の右に出る人はいない。そのあげくがパニックをはじめと…

僕のブログを、こんな方までが読んでくれているのだと言う経験を正月にした。 元旦に大阪から帰ってきた孫のアトピーをみてくれとある方に頼まれた。30分以上薬局のシャッターを1枚開けて応対した。その間に偶然通りかかった家族がいて、今とばかりに入っ…

三が日

まあ、この味気なさはどうだろう。年々存在意義を失ってはいるが、今年は一挙に極まった。三が日外出したのは元旦に教会に行ったことと、3日にお墓参りに行ったことだけだった。もっとも、僕の立てていた予定表はぎっしりつまってはいたが、そのほとんどは…

火傷

慣れないことなどするものではない。誰もじっと太陽を見た人はいないのだ。今昇って来ている太陽を見るとそれがご来光なのかと、余計な考えが頭をよぎったばっかりに意識して東の空を見た。前島の尾根の上をすでに十分照らしているから、雲が少しだけ途切れ…

基準

WHOから発表されたうつ病の診断基準によれば、①抑うつ気分(落ち込む)②何に対しても面白みや喜びを感じない③疲れやすい、活力の低下④集中力、注意力の低下⑤自信喪失、劣等感を感じる⑥自責の念⑦悲観的になる⑧自殺志向⑨睡眠障害(不眠、過眠)⑩食欲不振⑪体…