若者

 サニクリーンと言う玄関マットやモップや雑巾をレンタルする会社がある。店舗を持っているているものにとっては必需品の感があるからもう随分長いことお付き合いをしている。営業マンが時々替わるのだが、替わっても替わっても好感が持てる青年がやってくる。何故なのだろう。今日も初めての男の子が来たが、自然な笑顔を絶やさずに、とってつけた会話ではなく、終始、自然で、しかも謙虚な雰囲気を残して帰っていった。この会社の人間で不快な感じを持つことがない。何故なのだろう。面接の時なにか秘策があって、こんなにすがすがしい青年を連続で採用出来るのだろうか。偶然備前営業所に特化したことなのか、それとも全国のサニクリーンの社員の特性なのだろうか。  若者の犯罪が増えていて、若者に対して風当たりが強い。しかし現実には若者の犯罪は昔のほうが多かったらしい。マスコミがセンセーショナルに取り上げるだけで、さすがに貧しかった昔の方が青年の犯罪も多いのはうなずける。食うに困っての犯罪がない分、現代の方が少ないのは当然だ。なにも自分の人生を捨ててまで犯罪者になりたがる人間なんていない。村上龍の言うように、お金で防げる不幸もあるのだ。それと同じように、お金で防げる犯罪もある。  ただこれからは分からない。過去のように持てるものと持たざるものが混在し、不公平感を募らせば、犯罪は増える。企業のおエライ方、政治家のセンセイ、もし貴方の子や孫が、働き口が見つからず、食うに困って盗みをするようになったらどう思う。法律に違反したと裁けるのか。北の将軍様の火遊びに乗じて勇ましい言葉を乱発するおエライ先生方、戦争が起これば真っ先に死ぬ貧乏人の若者を、戦場には絶対いかなくてすむ貴方がたの子や孫と重ねてみることは出来ないのか。  体育会系のすがすがしい青年の姿にもう重ねるものは僕は持ってはいないが、壊すことから始まる青春を経ずに、いきなり創造の世界に追いやられた現代の若者に同情する。