忘年会

 幸か不幸か、バレーボールを辞めてから、ほとんど飲み会というものがない。忘年会も全くなくなった。そんなものがあることすら忘れていた。最近とみにお酒に弱くなったみたいだから、好都合なのだが、歳時記に全く疎くなり年が暮れ、年が変わることすらほとんど頭にない。子供でもいれば色々な行事で自ずと意識づけられるのだろうが、実体のない印刷物のような季節がただ過ぎ去るばかりだ。季節を迎えるほど充実した気力は元々持っていないから、特異の後追いだけでこじつけたようなページを繰っている。  どうでもいいような話題だが、テレビで忘年会の予算を尋ねていた。6000円が4500円になっただとか、会社の事務室でやるとか、何故かやらなければならないような前提でみんなが行動している。読んで字のごとく、まさか忘れたい年があるのでもないだろうし、もしあったとしたら、忘れようとする努力こそが思い出す誘因にもなるだろう。未曾有の災害があった場所で年忘れの酒は飲めないだろうから、さしずめ酒が飲めるのは、忘れる必要もないくらいの安泰の年だたって事だ。  行く年も来る年も、所詮マスコミのくだらない商売道具程度に落ちぶれてしまった。