無駄

 昨日の夜、散歩に出ていたら急に呼び戻された。ある女性が朝から吐いているらしい。お子さんの胃腸風邪が移ったらしいのだ。これからご主人が漢方薬を取りに行くから作っておいてとのことだった。なんでも関西に信頼している医師がいて、その医師が胃腸風邪の処方を教えてくれたらしい。出来ればその薬が欲しいとのことだった。ツムラ漢方薬で、一つは吐いているその女性に飲ませ、もう一つは家族感染を防ぐためにまだひいていない家族に飲ませなさいと言うことだった。  電話の後10分位してご主人がやってきた。何故かご主人が「関西の先生があの薬を飲めば4日くらいで治るとおっしゃっていたんですが、大和さんならどう思われますか?」と尋ねた。僕はどう考えてもその処方では、それこそ4日くらいかかってしまうのではないかと思った。余程信頼しているのは分かるが、こと漢方薬に関してだから正直に言わせてもらった。「僕がお世話するならその薬は使わないよ。まして4日くらいで治ると言われているけれど、4日で治ればいいんだったら、何もしなくても4日もあれば自然治癒するよ。奥さんは早く治らなければならないんでしょう?」と。ご主人の説明によると今大切なことに奥さんが取りかかっていて、それこそ休めないのだそうだ。だから敢えて僕の意見を聞いたのだと思う。  結局僕の考えた漢方薬を飲んでもらった。そして今日の昼前電話がかかってきて、ほとんどよくなったとお礼を言われた。3回飲んだだけらしい。胃腸風邪は漢方薬がよく効くが、僕は巷で言われている有名な処方が劇的に効くとは到底思えない。まして、すでに家の中に入っているウイルスに対して、これから漢方薬を飲んで免疫をつけるなんてことが出来るはずがない。ことこの処方に関してだけ若干僕が優れていたのかもしれないが、ひょっとしたら大いなる無駄が税金を食いつぶしているのかもしれない。