埼玉県のある市の女性と電話で健康相談していた時に、「山口県で地震があったみたいだが大丈夫ですか?」と尋ねられた。さすがに山口県とは結構離れているから、テレビで地震速報を見た時にも気にも止めなかったし揺れもしなかった。
「岡山県だから結構離れていて、揺れもしなかった」と答えたのだが、その女性はあまり中国地方が具体的にイメージできないみたいで、同じような所かと思っていたらしい。女性にとって僕らが暮らすところは単なる「西」なのだ。遠く離れた西国でしかないのだ。
僕は46都道府県すべてに漢方薬を郵送しているが、確かに、関東と東北はイメージしにくい。地理が決して苦手だったわけではなく、むしろ得意だったはずだが、この二つの地方はまさに「東」なのだ。
最近は、この「東」に起こるかもしれない地震について心配している。そこでまさに当事者である女性に言った。「一生で数回しか経験していない僕らのことより、日常茶飯事のように揺れているご自分の方を心配してください」と。
ところが思いもかけない言葉が帰って来た。「地震なんてめったに起こらないから心配していない」と。姉が千葉と横浜にいて、そして多くの漢方薬を飲んでくださる人が関東地方にいるから、今までの多くの会話で、全員が地震を慣れ過ぎるくらい経験しているものと思っていた。ところが東京の隣の県の方が、ほとんど揺れないと言われたのは耳を疑うレベルのものだった。
となると余程岩盤が強い所に市が立地しているのだろう。女性のようにちょっとした幸運が、そしてある人にはちょっとした不運が、将来を左右する。繁栄を謳歌する「東」がちょっとした幸運に助けられることを望む。