移住

「ヤマト薬局様 お世話様になります。薬を頂いて、殆ど飲み終えました。体調の方はお陰様にて大部良くなりました。お腹にガスが溜まるのも少なくなりましたし、腹部の痛みの和らぎ、食事も取れるようになりました。何より変化したのは、便通が今まで硬くてコロコロだったのが、普通の硬さになり、トイレが楽になりました。後はもう少し、お腹の違和感がなくなり、食欲が出るようになって、体重が増えれば幸いです。今度、8月に帰りますので、その時はこうした薬を調剤していただきたいと思っています。その時は、またよろしく御願いいたします。先ずは、御礼致します。そして、同じような患者さんのために、頑張ってください。有難うございました。」  丁寧な報告を下さったのは、東南アジアで第二の人生を送っている人からだ。今流行りの移住?だと思うのだが詳細は分からない。この方から久し振りに処方依頼があったのだが、正直緊張した。東南アジアへ引っ越しをしていることは知らなかったから、国内みたいに処方を頻繁に調節する事が出来ない。効かない薬をことづければ無意味に飲み続けなければならない。それはお金を頂くのに抵抗があるから絶対避けなければならない。メールによるとまずまず効果があったみたいだから安心した。 今までこのような人生の後半の過ごし方をしている人が身近にいなかったので、その方の暮らしぶりに興味を持った。何処の国でもいいから、僕にもそう言った芸当が出来るのだろうかと思いネットで調べてみたが、いいことばかりを書かれても心配になる。また言葉が通じないから騙されないようにと言うくだりもしばしば出てくるから、これも又不安材料だ。ただ、自分の性格からしたらあり得ないスタイルを築かない限り今の不調を解決する方法はないのだとうすうす気がついている。体力の保証があった数年前までは、この緊張感と少しでもお役に立てているという充実感でそれこそ時間が足りないくらいの生活を確信犯的に送っていたが、今はその原資が枯れてきた。  「努力、真面目、勤勉を忘れ去って能天気に暖かい地方でぶらんぶらんと遊ぶこと、これが最も効果的です」と偉い先生の文章の中に解決法が書かれていた。丁度薬を取りにベトナムの若い女性がやってきたから「自分の住んでいるところは暖かい?」と国のことを尋ねてみたら「寒い」と答えた。何でやねん、あんなに南の国で!