高齢者

 田舎にいればごく普通の光景で、お会いする人は高齢の方がダントツ多い。若者は朝早く登校し日中は学校に閉じこめられているから会う機会が少ないのも理由だが、圧倒的に割合が少ないのも事実だ。でも車で繁華街に休日出かけても、田舎と結構似た光景で、嘗てのように若者が闊歩する姿は見られない。数年前まで結構神戸や広島に毎月のように勉強に通っていたが、そこでも高齢の方が電車に沢山乗っている光景を目撃し、こういった生活が便利なのか不便なのか尋ねてみたい衝動に駆られたものだ。 今日届いた情報誌を読んでいたら、東京都リハビリテーション病院の林先生の面白い文章が載っていた。昔、まだ院長先生でない頃講演を聴いたことがある。当時も現場でこそ気づかれた知恵を教授していただいてとても参考になったが、今回もそれにますます経験を上積みされて、力みのない、しかし誰にでもすぐに役に立ちそうな知識が網羅されていた。  元気高齢者への道10箇条というのがあって、それについて詳しく書いて頂いているのだが、僕のブログの読者はまだまだそんなことが気になる年齢ではないので、その中で僕も常々世代を越えて感じていることと共通の部分が1箇所あったので、披露する。 「主観的健康観を良くする」と言う項目があって、「自分は健康だと信じることが大切です。多少の生活上の不都合や身体の不具合があっても都合の良い部分を認め、健康な部分を見て喜ぶことが大切です。人は感情の動物ですから、前向きの気持ちで生活すると免疫機能が賦活されて病気が軽くなる面もあります」と解説されていた。これは僕が毎日のように目にしているメールによる相談者や薬局においての相談者に返したい言葉だ。特に若者は、苦痛を訴えながらも、僕みたいな年齢のものにとっては夢のまた夢のような体調を保っている。さすがに主訴は気の毒で是非お役に立ちたいと思うが、全体を見ると「なんて元気なんだろう」と羨ましい限りだ。苦痛に耐えろなんて当然職業柄思わない。この症状さえなかったら私は幸せとしばしば口に出してくれる彼ら彼女らの希望を是非叶えたいが、林先生の言われるようにもっと長所に気がついてくれれば、早く改善してもらえるのにとも思う。  見渡せば4人に1人が高齢者の社会になった。高齢者にとっては住みやすいだろう。圧倒的な割合なのだから。だけどそれを支える若者達に、心や身体に不調を抱えさせてはいけない。これさえなければから、こんなにあると発想の転換が出来れば、思いもかけず「これさえもない」体調になってくれるかもしれない。