楽観主義

結構人は皆、楽天的なのかもしれない。ほとんどの人が眠る時、明日は当然来るものと思っているのだから。明日が来ないだろうと思って眠りにつく人は少ないのではないか。布団に身体を横たえ、目を閉じ、新陳代謝を極端に落とす。明かるさもなく、音もなく、知覚も嗅覚も閉ざしてしまう。明日を信じていなければ、死んでいるのと同じだ。目が覚め、光が差し、鳥の鳴き声が聞こえるから又生かされているだけで、ひょっとしたら、永遠の眠りについていたかもしれない。僕らは毎日、死の予行演習をしている。毎日小さな死で訓練している。やがて来る本番に備えて。  善に満ちて生きるのは難しい。喜びに満たされて生きるのも難しい。もし二度と朝を迎えることが出来ないと分かったなら、喜びの内に善を成そうとするだろうか。確信に似た楽観主義こそが、実は善を駆逐する。