「餅は餅屋、水は水道屋」、こんな諺があったかどうか分からないが、やはり水についての相談は水道屋さんに限る。 処方せんを持ってきた男性は水道屋さんに勤めている。もうずっと同じ内容の処方箋だから薬についての話はしない。雑談をして帰っていくのだが、ふとしたことから我が家のシャワーの出が悪いことを話した。悪いと言っても家を建てたときからずっとだから(シャワーを使う習慣のない僕は恐らく家を建てた時、試みに使っただけ以来30年使ったことはないが)そんなものと諦めていた。と言うより受け入れていたと言った方が正しいかもしれない。すると男性は駐車場のメーターの所に行き、おもむろに鉄板をはずすとメーターを覗いた。「ここは太い管が来ているから水圧が強いはずよ。いや待てよ、バブルをエライしぼって水を倹約しとるじゃないの」と言った。我が家の素人衆が勝手にそんなものに触れるわけがない。恐らく工事をしてくれた方が善意でそこそこの強さにしてくれていたのだろう。男性は断りもなく勝手にバブルを緩めて、「これで今夜から気持ちよく出るよ」と職人面に一瞬戻った。勿論こちらも断りもなくジェネリックに変えるくらいだからお互い様だ。こんな信頼関係で物事を進めていける関係はとても楽だ。田舎の大きな長所かもしれない。 「餅は餅屋、薬は大和」こんな諺があったかどうか分からないが。