欠点

 色々迷ったあげく、358円のカツ丼を買って帰った。今食べ終わったところだがなかなか美味しいものだ。もうずいぶんと長い間、食堂のカツ丼を食べていないからどちらが美味しいのか分からないくらいだ。丁度店頭に並べられたばかりだったのか、容器がまだ暖かくて例のチンをしなくてすんだのもよかったのかもしれない。 ただ一つ、いつまでも口の中に塩辛い感覚が残ることが気にかかる。これだけ美味しく味付けするのだから、塩も砂糖も調味料も何もかもが多く使われているのではないかと思う。確かに美味しいが、健康的かと言えば肯定しづらい。ぼくは滅多にこの種のものを食べないが、テレビなどであれっと思う人が食べているシーンを見かけることがある。今まで気になったのは、カリスマ医師達が、あるいは崩壊仕掛けの地方の医療体制を立て直した医師達が、おもむろにビニール袋からコンビニ弁当を取りだし、無表情に口に運ぶシーンだ。脱税額だけで普通の人の10年分以上の所得があるようなカリスマ医師が、コンビニ弁当をかき込む姿など、視聴率稼ぎには格好のシーンなのだろうが、どうもいただけない。患者より自分の方を気をつけろと助言したくなる。もっとも平生は庶民が心配してあげる必要はないくらい贅沢なものを食べているのだろうが、忙しさの余りコンビニ弁当ですませる風潮を作り出したりしたら、肩書きに傷が付く。  色々迷ったあげくカツ丼だったのだが、実はかなり後ろ髪を引かれたものもあった。筆頭はにぎり寿司弁当、次はスパゲッティーと3種類のサラダの組み合わせ、その次がコロッケ、その次が幕の内弁当、その次がおにぎり、その次が菓子パン・・・。結局僕がカツ丼にした一番の理由は、見るからにギトギトして美味しそうで安くて体に悪そうだったから。言うこととすることの違いが大きいのが僕の欠点。