漢方

分相応

どうしてもっと早く相談してくれなかったのかと思う。不本意な帰国を2週間後に控えて初めて心のうちを話してくれた。日本で心を許すことが出来る仲間に恵まれなかったことが原因らしいが、かといって帰国してから何の保証もないことを漏らした。帰国してか…

皮肉

一つには道理に反するから決してこちらから声をかけない。二つには、物売りになりたくないからこちらから声をかけない。これらを守っていれば昔ながらの薬局も結構楽しい。無理をするからしんどいし、嘘をつくからしんどいので、もしお金が欲しいなら門前薬…

確信

僕ら自営には、出世も降格もないから、そのあたりの事情はよくわからないが、時に出世したばかりに心を病み、めぐりめぐって僕のところに相談に来るケースがある。 この方もそうだ。最初は理由を言わなかったが、僕は話を聞いているうちに想像がついた。かな…

難点

今日、もう数ヶ月、白ニキビの漢方薬を飲んでもらっている女性のお母さんから「ずいぶんときれいになりました。治るものですね。言われたように数個ずつ赤く大きくなって治っていきました」と礼を言われた。数えることができないくらいの小さくて白いにきび…

被害者

そのコマーシャルに、なんだか違和感があったので、翌日回ってきたある漢方薬の会社のセールスに尋ねてみた。すると彼は調べてみますと約束してくれ、今日電話で僕の疑問点に答えてくれた。 僕は漢方薬の宣伝かと思ったのだが、彼は飴の宣伝だと言っていた。…

感触

正直うんざりするほど長い休日だった。身も心も休むのは苦手で、早く働きたかった。年末にどうしてもお役に立たたなければと思わざるを得ないような方が続いて、すでに気持ちは臨戦態勢だった。受験生が問題をあてがわれて、正月中は解かないようにと言い渡…

火傷

笑うに笑えぬが、やはり笑う。自分のことだから遠慮せずに笑う。 ありがたいことに11月に沢山作っていた紫雲膏がもう底をついたから今日慌てて作ることにした。処方箋の患者さん達は、冷たい雨が降っていてもいつもどおり来るだろうけれど、OTCの患者さ…

お世辞

お世辞かもしれないが、中四国地域を回っている漢方問屋の専務さんが「私が知っている限りでは先生のところが一番安くて効く漢方薬を作っておられます」と言ってくれた。どうもどこの薬局に行っても同じことを言っているような気もするのだが、褒められて悪…

矛盾

両肩を上げると、いわゆるいかり肩になる。「現代はこうして暮らしている人が多いですよ。だから肩がこるんですな」と先生が講演の途中で言われた。僕はいからせた肩は思いつかなかったが、同じようなことは毎日感じていた。そして僕の場合は「力み」と言う…

空振り

「そんなことないですよ」関西弁だから「な」の位置にアクセントがある。先生は2度言ってくれた。 教えを請い始めてからもう30年になる。まったくの初心者から始めて、先生の講義を一言も漏らすまいと懸命にメモを取り続けてきたから、今の僕がある。僕が…

紫雲膏

手作りといえば何か食べ物か工芸品みたいだが、僕の薬局の紫雲膏も完全な手作り品だ。ただし薬だから材料に決まりはある。成分や配合比率も決まっている。それなのに褒めてくれるのは、材料に最高級品を使っているからだろう。国産がいいとは限らないが、紫…

土蔵破り

掟破りだが仕方がない。何度も断ったが、家族の思いは真剣で、頼みに来た方も過去に漢方薬でお世話をし、いい結果が出せれているし、そのお子さんもあるトラブルを漢方薬で完治させれたしで、外堀は埋められていた。それらの経験があったから相談してくれた…

独壇場

何が切っ掛けでヤマト薬局に来てくれるようになったのか分からないが、もし来ていなかったらこの方はどのくらい将来も医療機関を彷徨うのだろうと思う。 沢山の不快症状で悩んでいる。上げればきりがない。10数年前からの不快症状だから解決しているのもある…

天寿ガン

あるガンの患者さん。病院で治療をするわけでもなく、ずるずる?ときていた。ただその間僕のガンの漢方薬を飲んでいたからか?まったく進行はなかった。なんか間延びした話だが、その間病院も患者さんもおおらかなものだった。ところが調子いいとみんな飲み…

良品

薬剤師は一呼吸置いてから静かに答えた。「モコちゃんが、家でウンチやおしっこをするのを嫌がらなかったら、無理に外に連れ出す必要はないのではないですか」と。意外な答えだったのでその理由を尋ねると「モコちゃんには何か行きたくない理由があるんでし…

先入観

93歳にして、自分で電話をしてきて、症状を説明して薬を娘に取りに来させる。症状を正確に説明してもらわないと僕も漢方薬の作りようがないから、若干不安だったが、下手な若者より語彙が豊富で分かりやすい。 風邪を引いて病院にかかっているが、どうも痰が…

出番

病院の薬を処方箋によって調剤することが増えるにしたがって、特に外科、整形外科領域において、違和感を持つことが多い。多くの方に共通して処方されるのは、ロキソニンと胃粘膜保護剤だ。それに張り薬が付いている。ほとんどがこの処方で時に重症患者と思…

系図

「うつ病である55歳以下の女性は、心筋梗塞リスクまたは心疾患で志望するリスクが健康な女性の2倍以上であることが、アメリカエモリー大学ローリンズ公衆衛生大学院の助教授らによって示された。この年齢の女性は男性や高齢女性に比べてうつ病になりやすいこ…

紅参

やはり、そうは問屋が、いや電話をした相手は問屋ではなく、製薬会社だったが、降ろさなかった。せっかく、その生薬を飲んでいる多くの人の役に立てると思ったのに残念だ。この1年くらいの間に見る見る値段が上がった生薬の中でも「紅参」は筆頭かもしれない…

感謝

珍しく息子に感謝された。なんでも、最近他の科に紹介することが少なくなったらしいのだ。今までは畑違いだと思ってすぐに紹介していたものが、自分で治すことが出来るようになったとのことだ。主に婦人科や心療内科の分野のことだと思う。基本的にはお互い…

睡魔

2時間懸命に食らいつこうと思って臨んだのだが、半分以上は睡魔との闘いだった。そしてほとんど負けていた。 どうして中医学というものはあんなに難しいのだろう。医学か哲学かよくわからないが、漢方薬を科学的に?客観的?に解釈するためにまとめられた医…

蕁麻疹、めまい、動悸、息苦しい、ストレスで胃が悪い、頭痛がする。これは今日ある家族から頂いた漢方薬の依頼だ。家族3人が飲んでくれていて、どれも確実に効果を出し、病院とも縁遠くなっている。 今日初めて相談のメールをくれた人がいる。病名を僕は初…

法治国家

業界関係者と話をしていて、思いがけないことを聞いた。田舎でのんびりとやっていたら蚊帳の外だから、驚きの内容だった。 漢方薬のエキス剤(煎じ薬でないと言うこと)が1日分が600円くらいするらしいことは聞いていたが、そしてそれ自体もあり得ないと…

誠実

体の何処に痛くない場所があるのだろうと思われるほどの苦痛を訴え、実際動作を見ていても日常の生活の質の低さは想像がつく。ところが処方箋を見てみると、1ヶ月に1度飲む骨粗鬆症の薬と痛み止めと多くの貼り薬だ。これで1ヶ月なんとか凌いでくださいと…

便乗

サングラスをはずせば結構魅力的な顔をしているのに、隠したがる。その岡山弁を隠せばいいと思うのだが、流ちょうに、臆面もなく、そして華麗に使う。それが又魅力的なのだが、どうも自分に対して自信が持てないみたいだ。 最近岡山弁で通している人が多くや…

教訓

岡山県の東と西に離れているが、ほとんど年齢が近いためにまるで同級生のように会話をしながら漢方薬を送っている人がいる。ご本人には辛い出来事だが、余りにも大切な示唆を含んでいるので、プライバシーに配慮しながら披露したいと思う。きっとその方も許…

大事

悪く言うつもりはないが、医者も尊敬できる人ばかりではない。もっともクラシック音楽の世界も先端医療の分野も嘘だらけだから、政治の嘘ほどそれは危険ではないが、営業にばかり注力している医者がいても、結構多いが、不思議ではない。 この女性は下肢が痛…

緊張

あるおばあさんが、わざわざお礼に来てくれた。いつもならお嬢さんだけが薬局に入ってきて、処方せん薬を持って帰るのだが、今日は違った。「助けていただいてお礼を言いたかったんです」とそれこそお礼を言われたのだが、僕は実はお礼を言われたこととは違…

問題

関東に住む男性からあるトラブルの相談があった。相談主は初めてだったが、嘗て岡山在住のお母さんを漢方薬で僕が世話をしたそうなのだ。幸いお母さんがとても良く改善して、息子さんに、僕に相談するように助言したらしい。お母さんとよく似た症状で病院に…

紫雲膏

面白くて興味深い話を聞いた。 ある製薬会社のセールスは女性だ。毎月かなりの距離を走り回っていると思う。大阪や北九州を担当したときの交通マナー事情などを面白おかしく話してくれるが、昨日の話は特に面白くてなおかつ役に立った。 運良く去年から実家…