難点

 今日、もう数ヶ月、白ニキビの漢方薬を飲んでもらっている女性のお母さんから「ずいぶんときれいになりました。治るものですね。言われたように数個ずつ赤く大きくなって治っていきました」と礼を言われた。数えることができないくらいの小さくて白いにきびを顔一面に出している人が時々相談に来るが、僕は余りお相手するのが好きではない。当然処方を知っているし、治っていただいた人も多いが、治る過程に少し難点がある。大きくなるのだ。それは意図してそのようにし、最終的には爆発させて完治させようとしているのだが、服用している人や家族にとっては単なる副作用にしか見えないだろう。それを副作用ではないと説明するととってつけたようになるから僕は前もって言っておく。「少しずつ大きく赤くなって、爆発して消えるから我慢してね」と。このお母さんからもやはり途中で心配になったらしくて「このまま漢方薬を飲んでいて大丈夫ですか?」と尋ねられた。所詮漢方薬だから大丈夫なのだが、相手の越が引けることが間々ある。今回は大丈夫を信じて服用してくれたが、脱落する人も多い。最初から説明しておくのだが、やはり現実に遭遇すると心細くなってくるのだろう。  健康食品を飲んでいると体に好ましくない症状が起こる。その場合、便利な言葉を誰が思いついたのか「好転反応」とごまかすらしい。それは単なる副作用なのだが、とってつけたような言葉で切り抜けるらしい。ニュースが伝えていた。僕の白ニキビの漢方薬は勿論好転反応などと言う怪しいものではない。患者さんを元気にして上げて、弱いニキビも元気にするという方法だ。元気なにきびなら成長して赤くて大きくなり、やがてつぶれて消えていく。要はニキビとしての全うな道を歩ませてやるってことだ。体に何かハンディーがあるからニキビが成長できないのだから。  たかがにきびにも人生(?)がある。