後藤さんは、実績を高く評価され、人望もよほど厚いのだろう。多くの国の人たちが助けて欲しいと、かの国にお願いしている。テレビで見る情報しか知らないが、かなりの人格者だったのだろう。一般市民がインターネットを通じて、弱き人たちの側に立ち続けていることを相手国に説明し直接懇願できるのだから、便利になったものだ。国などと言う権力の中枢にいなくても、一人の同胞として解放を懇願でき、それがその国の人たちにも伝わり心を揺さぶる可能性があるのだから。  そうした市井の人たちの切実な訴えに反して、どうも合点が行かないのが、国が頼む相手だ。僕は素人だから全く分からないが、どうしてその国の人たちを殲滅しようとしている国(そのことは彼らには筒抜けだが)に頼むのだろう。その国と仲のいい国に頼めばいいのに、爆弾を落としている国に助けてと頼むのがよくわからない。言うなれば、ヤマト薬局が困窮しているから、マツモトキヨシに救ってあげてと頼んでくれているようなものだ。マツキヨがヤマト薬局を救う必要など全くないだろう。むしろもし僕の薬局が邪魔ならこことぞばかり潰しにかかるだろう。  今しがた、ニュース速報で希望を持てるようなテロップが流れていた。彼はやはりこの国の人にとっても、あの国の人にとっても財産だ。たった2機の戦闘機で自由になれていたのに、たかが金属の塊2つで自由になれていたのに、何をためらっていたのだろう。もし後藤さんではなく、豊田さんとか柳井さんとか安部さんとかと言う名前の人だったらどうだったのだろう。名字によって国の対処に差が出るのかなあ。