感触

 正直うんざりするほど長い休日だった。身も心も休むのは苦手で、早く働きたかった。年末にどうしてもお役に立たたなければと思わざるを得ないような方が続いて、すでに気持ちは臨戦態勢だった。受験生が問題をあてがわれて、正月中は解かないようにと言い渡されているようなものだ。バイオリン奏者が楽譜をあてがわれて、まだ弾かないようにと指示されているようなものだ。氷の厚みは十分なのに、まだ釣り糸を垂れるなとワカサギ釣りの規則で縛られているようなものだ。  自分に何か予定でもあって調べたのだろうけれど、息子が今年は2回4連休があると教えてくれた。そしてその次に「お父さんもいつ何があるかわからないのだから、早く技術の伝承を済ませて、かの国の若者達のところを訪ねてあげたら」と提案してくれた。不気味な指摘だが、それは認めざるを得ない。まだ第一線で漢方薬に関しては頑張っているので、自分で全て完遂したほうが能率的だしモチベーションも上がるが、ひょっと何かあったときには確かに大きな迷惑をかけることになる。  4月から、新しい薬剤師が手伝ってくれるから、その時から漢方薬も皆で分担してくれることになった。ただ人生経験が、それも挫折の経験が必要なときは僕がお世話することになると思う。薬を飲むだけで解決するような人が少ないのがこの何年もの感触だから。