睡魔

 2時間懸命に食らいつこうと思って臨んだのだが、半分以上は睡魔との闘いだった。そしてほとんど負けていた。  どうして中医学というものはあんなに難しいのだろう。医学か哲学かよくわからないが、漢方薬を科学的に?客観的?に解釈するためにまとめられた医学なのだろうが、科学的に客観的にわからないときたからいよいよ僕にはあっていないのだろう。どうも僕の印象だと、よく言えば理論的な人、悪く言えば、むしろこちらのほうがあたっている印象は受けるが、理屈っぽい人が多い。僕みたいに「効きゃあ、よかろうが」なんて品のない輩は会場の中にいない。  それにしても講師の中国人女性のパワフルな講演には恐れ入る。その昔このようにあの国にはいっぱいお世話になった。沢山の知識をもらった。近代になって一瞬立場は逆転したが、ほとんどの歴史の中ではあの国から多くを授かっている。いたずらに煽って何を得ようとしているのか知らないが、今煽っている人たちを覚えておくべきだ。いつかそれを断罪する日まで。  日本漢方を何か補完できたらいいなという、僕の得意のいいとこ取りで出席したのだが、実際に明日からの仕事に生かせることが出来るものはなかった。医師相手の講演会だから当然だが、多くの出席している医師達はどうなのだろう。明日から早速今日の内容を生かすことが出来るのだろうか。講演後に質問を受け付けたが、何を聞いていいのかわからないくらい難しかったから、質問は出なかった。  尖閣も異常接近も、こと漢方の世界では関係ない。何十人の出席者が一人のかの国からやってきた女性医師に教えを請うている。政治という胡散臭い場所以外ではおそらく同じ光景が広がっているだろう。