掃除

漢方薬の勉強にやってくる薬剤師は、朝一番にトイレの掃除をしてくれる。掃除といっても簡単にほうきで掃くようなものではなく、しゃがみこんでブラシで磨いてくれる。おかげでもうずいぶんとたっているトイレが光っている。黄ばみもなくなってしまった。娘が「きれいだったんだ」と言うくらい実際に光っている。 勉強にやってくるたびにお土産として古新聞を持って帰るが、それは保護した捨て犬たちの粗相のために大量に必要なものらしい。何よりも彼女はそのお土産を喜んでくれる。ボランティアで捨て犬の世話をしているから、薬局のトイレ掃除などなんでもないかもしれない、 彼女は獣医さんのところにもお邪魔して、動物の病気についても勉強している。実際に患者?患犬?がやってきて獣医が診察し薬を決めるところまでの一連の流れを見せてもらい勉強しているらしい。彼女の唯一の目的は、人間の都合で犬たちが虐待され、そして捨てられることを防ぐことらしい。その犬の好きようが半端ではないと思っていたのだが、犬を救うためという固い信念で漢方や獣医学を勉強している。 数ヶ月前に愛犬チワワを救えなかったのが、今のポテンシャルの高さの原因になっているのかもしれないが、なんとなくチワワに顔が似てきている。愛情が深すぎて乗り移ったのだろうか。僕の知識がどのくらい役に立てるのかはわからないが、愛情深い薬剤師の、いや捨てられ傷ついた犬たちの役に立てれればと思う。