注意

 風も雨も大したことがないのに、急にサイレンを鳴らし、高潮警報などを出すから「見に行きたくなるんじゃ!」
 運がよかったと胸をなでおろしている時に、急に高潮警報がサイレンとともに出されたから、再び警戒モードに入った。海辺の人間にとって、海水が陸に上がって来るのは想定内だから、以前ならそんなに気にはしなかったと思う。僕が幼い時には、祖父がやっている鉄工所に台風の時は足首の高さくらい水が入って来るのはしばしばだった。子供には結構そのことは非日常で楽しかった。そして10メートルくらいしか離れていない岸壁に行き、何メートルも舞い上がる波しぶきを見るのも楽しみだった。幼い子供でも自由に岸壁の上で遊べた、今では考えられないくらい自由だった。
 午後6時半、仕事を終えるとすぐに、海の高さを確認しようと出かけた。と言っても薄暗い中、海岸まで行く必要はない。海に流れる用水路が薬局の近くを流れているからそこを確かめれば潮位の想像はつく。普段はほとんど水が流れていないのに、台風の時は道路の高さくらいまで水を貯え激しく流れたり、潮が高い時には逆流する。
 覗いて見ると、10cmも水位はなかった。深さが2メートル近くある水路だから、それを見ただけで、心配がないことがすぐにわかった。その後夕方のローカルテレビで牛窓町の2000戸に高潮の警戒レベル4が発令されていた。移住者以外は恐らくテレビの警報より自分たちの経験を優先するのではないか。
 コロナで煽られ、南海沖地震で煽られ、今回は台風で煽られ、煽られ慣れしてきたような気がする。「海岸線や川などを見に行かないでください!」と繰り返される注意喚起に「注意」

https://www.youtube.com/watch?v=YwLBRUBAI3g