伐採

  これで台風の大風が吹いても大丈夫だろう。
  倒木で亡くなる人がいることはニュースで何度も見ていたから理解はできるが、どうしてと言う疑問も持っていた。大木が音もなく前触れもなく倒れるのだろうか、逃げる暇もないくらいの倒れ方をするのだろうかと疑問に思っていた。
 5月に、ドッグランのそばの山道から大きな木の枝が落ちてフェンスを壊したのを目の当たりにして、「あり」だと確信した。たかが枝だが、巨木の枝ともなると直径が30㎝では済まない。長さは3メートルくらい、これが結構な高さから落ちてくるのだから、金属製のフェンスでも太刀打ちできない。無残に折れ曲がった。これが人間の頭だったら、それこそ即死かもしれない。
 植木屋さんは、この時期草刈で忙しいのか、5月に依頼していたのにやっと昨日伐採してくれた。ふもとまで森林。恐らく今、日本中でこんな光景が広がっていると思うが、たった1本でも、大きな木がなくなると、太陽の光がとおり出し、ちょっとだけ東の空が見え出した。僅か一区画でも、風が流れる場所が出来て気持ちがいい。そして何よりも、人様やワンちゃんをを傷つける心配がなくなった。
 半日、チェーンソーの大きな音が薬局まで響いた。なんて心地よい音だろう、音が木の香りまで運んでくるみたいだった。

https://www.youtube.com/watch?v=-y_sYHhCFEg