保護猫

 薬局の裏、つまり我が家用の駐車スペースから堂々と入って来るのは、この女性薬剤師さんだけだ。
 今日入ってくるなり「先生、プリンちゃんに兄弟はいらないですか?」と言われた。僕は何を言われているのかさっぱりわからなかったので「どういうこと?」と尋ねた。すると子猫を4匹保護したらしい。
 飼い犬が老衰で世話をするために薬局勤めを辞めたのが昨年。一時は動物用の漢方薬を勉強するために通ってきていたが、結婚を機にそれは中断。しかし、今でも当時世話をしていた犬たちのための漢方薬を作りに来る。今日はたまたまその日に当たったのだが、犬の散歩の途中で捨てられた赤ちゃん猫を見つけたらしい。人通りがあまりある所ではないから、明らかに人間の手で捨てられたと断言していたが、保護犬、保護猫の世話をしていた人の目は厳しかった。今は老衰の犬や猫を合わせて6匹大切に飼っているみたいだが、そういう人に限って捨てられた動物と巡り合うことが多く、見て見ぬ振りが出来ない故に次第に家族?が増えていく。
 さすがに一気に4匹はきついのだろう、我が家のプリンに兄弟はいらないかと、直接攻めて来た。妻は以前から猫に兄弟がいたら猫の健康のためにいいだろうなとよく口にしていたが、さすがに頂戴とは言わなかった。猫より僕らの方が先にいなくなる可能性があるから無責任なことはできないことは分かっている。
 妻は、猫を欲しがっていた患者さんを覚えていたからすぐ連絡を取っていたが、その間に薬剤師が言った言葉が「なるほどなあ」と思えた。印象深く、その道のプロは発想が違うと感心した。保護活動をしているからこそ出る言葉なのだろう。
 僕など4人の飼い主を探さなければならないから、大変だなあと言う感想だったが、薬剤師は「出来れば2匹ずつ貰って欲しい」と言った。兄弟を離れ離れにせずに、寂しくないようにしてあげたいそうだ。言われてr見れば納得だが、意外と素人には発想できないことだ。
 まだ離乳時期にも達していない写真を見せてくれて「これが長男 これが次男、これが長女、これが三男」と説明してくれた。「なんでわかるんじゃあ~」

https://www.youtube.com/watch?v=QuVfybkIf_M