汗は滴るが、いい男ではない。
 もうこの時間だといいだろうと午後4時半ころから意を決して、草刈と焼却に勤しんだ。生え放題も置き放題も、性格には合わないから、腰や背筋の張り加減をうかがいながらの作業だ。
 まだ太陽の光はエネルギー満タンで、時折近づいてはまた遠ざかる赤とんぼの力強さに呆れた。あの小さな体のどこに水分を蓄えていて、あんなに元気に飛び回れるのか不思議だった。中には元気過ぎるのもいて、焼却炉から吐き出される煙の中を潜るような強者もいた。自然界で生きる小動物の、いかにも致命傷になりそうなものの近くを飛ぶのも不思議だった。火と煙が区別出来ているかのような行動だった。
 蜂に4か所も刺された人が昨日薬を取りに来て、そのトラウマから今日は長そでのジャージを着て作業した。何十年前のものか分からないが、まだまだ新品だ。これなら蜂の針をいくらか浅くできそうだからと鎧代わりに着て作業をしたのだが、そのせいで暑いこと暑いこと。まさに汗が額から滴り、目に入り、また顎から零れた。頭を麦わら帽子で覆っていたのも影響したのかもしれないが、真夏より多く汗をかいたような気がする、と言うか確実にかいている。
 恐らくそれは、ほんの少し気温が下がったからだと思う。10分から15分くらいが限界だった真夏の作業時間が、今は1時間くらいは通してやれる。だから汗も滴り落ちるくらい溜めることが出来るのだろう。汗が出る前に危険を察知するくらいの体の変化が起こっていた頃は、とてもこんなに流暢に汗はかけなかった。
 秋が破れた麦わら帽子の間からやって来た。猛暑を、何とかばてずに乗り切れたことに感謝だ。

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