彷彿

 朝、生ごみを集荷に合わせて用意し、階段の傍に置いていた。丁度そこに3階からプリンが下りてきて、ゴミ袋すれすれに横切った。何か興味でも示すのかと思ったら、鼻をクンクンすることもなく、悠然と通り過ぎた。
 屋根付きの駐車場の隅に、可燃ごみと埋め立てゴミを集荷まで数日ストックしているが、時々それを野良猫があさる。別に食べられるようの物は入れていないのだが、残り香につられて袋を破って食べようとした痕跡が残っているからわかるし、そもそも中身が散乱して汚い。
 それに懲りて今では、物置の中に入れておくようにしているのだが、恐らく1年前には、プリンもゴミを漁り飢えをしのいでいたに違いない。もう何年も繰り返されている光景だが、1年前、2か月の幼さでミイミイと救いの鳴き声を出していたのだから、最近のごみの散乱にはプリンは明らかにアリバイが成立する。
 今朝の捨てるために用意していたゴミは、野良猫にとってはご馳走だと思うが、さすがに毎日ちゃんとした餌を与えられているから、見向きもしなかったのだろう。猫でも立場によってこんなに行動に差があるのかと、思わぬ発見をした。食べれるものなら何でも口にするのかと思っていた。
 偶然助けを求めて僕の所にやって来て、ミイミイと鳴く声が猫嫌いを忘れさせた「哀れ」は、猫特有の天賦のものだろう。まるで人間社会を反映したような朝の光景は、上級国民と非正規労働者、ホームレス、ひとり親との対峙を彷彿させた。

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