高所恐怖症

 何時から高所恐怖症になったのだろう。
 田舎で育ったから、特別高さを意識するようなところには行かなかった。せいぜい百貨店の屋上の遊園地に何度か行ったくらいで、そこで高さに恐怖を感じた記憶はない。
 初めて恐怖を感じたのは万博でジェットコースターに乗ったときだろうか。あまりの恐怖で、1分くらいの時間が何倍にも感じたことを覚えている。
 以来自分は高い所が苦手なのだと意識するようになり、それが輪を掛けたのだろう、高い橋を車で運転するのが苦手になった。特に瀬戸大橋は高さが半端ではないから、何日も前でも予定に組んだら手に汗をかくくらいだった。ただし、渡れないなんてのは僕にとっては屈辱でしかないので、最初は、漢方薬でドーピングしながら次第に克服した。ちょっとした理由をつけて何回も何回も敢えて渡った。その都度少しずつ楽に渡れるようになり、今では気にもならない。
 ドーピング以外にも僕が克服できた理由がある。それは、高い所に恐怖を感じない人間の方が、「いかれている」と言う研究結果を聞いたからだ。僕の方が正常なら何も治す必要もないし、克服する必要もない。ただ怖がっていればいいのだから。ただそういった居直りも又、克服のためには大きな武器になった。
 こんなことを思い出し書いたのは、今日偶然ユーチューブで見つけた動画のせいだ。「これ本当なの?」と見終えてなお信じがたい。広い中国だからこんなこともあるのかと思えなくもないが、見るだけで、足がすくんでしまった。
 さあ、一緒に足をすくませましょう、これっきしだの、税金取り捲くりに足をすくませる練習のために。高所よりはるかに怖いはずだから。

Villagers living on cliffs | Most dangerous cliff way to the village | Chinese Cliff Village - YouTube