点数評価

 よかった、よかった、今年も「さぬきの鼓響」は期待通りの演奏の連続だった。主催してくれた「日本太鼓財団香川県支部」の皆さんや出演してくれた「女流和太鼓 響音」「仁尾竜翔太鼓」「鴨川福神太鼓」「和太鼓集団 響屋」「大野原龍王太鼓」「和太鼓集団 夢幻の会」「善通寺龍神太鼓」の皆さんに感謝だ。僕は勿論、3ヶ月の応援部隊として来日している女性たちも、とても喜んでくれた。特に彼女たちは恐らくもう日本に来ることができないから、楽しみようも濃密で連れて行く僕もモチベーションが上がりっぱなしだ。しかし、そうしたことが、僕自身にも多くの果実を与えてくれる。  実は今日の会場が香川県詫間だから、瀬戸大橋を渡っていかなければならない。どうにか工夫すれば電車でもいけるのだが、歩くのがめっぽう嫌いなかの国の人達を連れて行くから、丸亀駅から丸亀城まで、詫間駅からマリンウェーブまで歩かせるのが気がひけた。特に今日は小雨だから傘も持たなければならない。(実際は、念のために傘を5本車に積んでいたのだが、一人も傘を持ってきていなかった)と言う理由で、あの嫌な瀬戸大橋を車で渡る方を優先してスケジュールを考えた。高所恐怖症の僕にとっては結構あの高さとあの長さは難関なのだ。以前なら計画を立てはときから常に頭からはなれず、考えるたびに動悸がしそうだった。しかし、僕は多くのパニック障害の方を世話している関係で、現場から逃げ出すことは出来ない。現場でしか治らないと常に言っている立場上、逃げることは出来ない。何回も挑戦して克服するしかないと言い続けている。だからあえて車を選択することが多い。そして最近は、手に汗を握ること少々、橋の途中で急に不安感に襲われること少々までこぎつけていた。  ところが今回は、数日前に車で行くことに決めてからも頭に浮かぶこともほとんどなく、だから当然動悸がすることもなく当日を迎えることが出来た。そして何となく何も起こらないのではないかと言う予感がした。案の定、瀬戸大橋がトンネルを抜けた瞬間見えても何も動揺しなかった。むしろ彼女達が写真を撮りやすいように、追い越し車線ではなく欄干よりをゆっくり走ってあげる気配りも出来た。以前なら追い越し車線をがむしゃらに運転して一刻も早く橋から出たかったのだが、今日はそういった発想は全く影を潜めた。しばしば僕が患者さんに点数評価してもらうが、それに準ずれば10が2くらいまで改善したのではないか。もう1,2回挑戦すれば0になるかもしれないと思った。もっとも今回は、3日前から高所恐怖症の漢方薬、今朝出かける前にパニックの漢方薬を飲んだからドーピング気味ではあるが。  なにわともあれ、今一緒に頑張っている「出来ないことがある」人達に僕の処方や取り組み方が正しいことは証明できると思う。この歳になって敢えてむきになって解決しなければならない問題かとも思うが、そのあたりは潔癖だから挑戦し続けたいと思う。