喫茶店

 もう何十年も喫茶店なるものに行ったことがないが、嘗てはコーヒー以外飲むことはなかった場所だ。金がないのにコーヒーは飲める。飯代はないのにコーヒー代はある。摩訶不思議な金銭感覚の時代だった。
 恐らくホットケーキも食べてみたかった。ミックスジュースも飲んでみたかっただろうが、その金はなかった。その金があればパチンコに使う。
 何のために生きていたのかも分からない、まるで羅針盤が壊れた船で太平洋を航海しているようなものだった。風や波で流された先が天国か地獄か分からない。運ぎしのその日暮らしだった。行き着いたのは、何年も前に船出した港町。ただ戻って来ただけだ。 
 久々に祭りが嘗てと同じように明日行われる。神輿を接待するのも3年ぶりだ。時代とともに、飲んだくれる人がいなくなったから、酒での接待はもうやめた。若者は特に飲まない。酒に飲まれている姿を見られたくないのだろう。それはそれで僕も賛成だ。ある時から僕の中で、酒が単なるエタノールになった。
 思案の挙句、かつてなら考えられないようなものに決めた。バナナジュースに、本格的なコーヒー。30年前まで僕も神輿を担いだが、当時を思い出して、僕が喜んで手を伸ばすものとして考えた。ベトナム人若い女性が手伝ってくれることになったから、担ぎ手の目の前でミキサーを回し、ドリップに熱湯を注ぐことにした。試作品も結構おいしくて、かつて僕がためらって口にできなかったものが、露店の喫茶店で楽しんでもらうことになる。

軍国主義者・岸田、タイム誌見出し変更騒動。電力会社不正、G7、LGBT問題・・・断片的情報を統合して理解する曼荼羅思考。安冨歩東大教授。一月万冊 - YouTube