指紋

 今は、煎じ薬を作っている間、スマフォを操作している人が多いから、気分的にはとても楽だ。おそらく僕がパソコンを開いているような状態だろうから、時間を忘れていると思う。落ち着いて煎じ薬などを作れるのは有難い。
 今朝一番に煎じ薬を作った女性も、そのような待ってくれ方をするからゆっくりと作れた。その女性が会計が済んでから指を見せながら「指紋を復活させる漢方薬が出来ますか?」と尋ねた。当然僕は患部を見せてもらうが、よほど指を酷使しているのだろう、指紋は元より広範囲に水分を失って乾燥し粉を吹いていた。
 患部を見て僕はすぐに消毒用のアルコールと石鹼の使い過ぎだと分かった。もっとも看護師さんだから使い過ぎは当然で、それをやめるわけにはいかない。と言うことは現役でいる間は指紋は復活しないと言うことだ。せいぜい良質の保湿クリームを使うしかない。当然それを使ってのこのありさまだから、治らないと言い切ってもいいかもしれない。
 そこで僕はいつものように励ましの言葉だけ持って帰ってもらうことにした。「仕事をしている間は恐らく指紋は復活しないけれど、証拠が残らないから何をやっても捕まらないよ。悪いことのし放題じゃあ!」
 ところが真面目なその女性は「指認証が出来ないから不便です。いちいちパスワードを入れています」と言った。
 そうなるとスマフォを触ったことがない僕には付いていけず、たったそれだけのことで指紋が復活するかどうか聞かれたのかと力が抜けた。僕が力が抜けても彼女は治らない。脱力出来たら治る病気のお世話を漢方薬でしているのだから。

 

大石あきこ 国会質問! 衆議院・予算委(10/24 11:57頃 ~) - YouTube