検査

 検査の日はこれこれの薬は飲まずに来てくださいと注意されるが、僕は全く病院の薬を飲んでいない。胃カメラ検査が終わって先日頼んでいた血液検査の評価もしてくださったが、悪玉コレステロールがほんの少し多くて、善玉コレステロールが1だけ少ない。
 昨年とほとんど変化していない。変わったのは昨年までは院長先生が診てくださったが、今年は新たに他院から引き抜かれた先生が検査してくださった。経歴が立派だ。その先生は、血液データを見ながら、コレステロールが治療してもいいくらいあるから薬を出しましょうかと僕に尋ねてくれた。僕はすぐに断った。院長先生も何年も前から僕が病院にもかかったことがなく、当然だが病院の薬を飲んだこともないのを不思議がっている。口には出さないが、他の病院で薬をもらって飲んでいない、いやそれ以前にかかってもいないことに一瞬けげんな表情をする。病院の先生にとっては、老いたらみんながみんな病気になるものなのだろうか。僕は元気ではないが病気でもない。だから病院にかかっても仕方ないし、薬をの飲んで、血液検査のつじつまだけを合わすのには意味を感じない。
 もし僕がコレステロールが標準に収まったら、活力のない人間になってしまうのではないか。悪玉でも善玉でもいいから、ガソリンを補給しないと、今みたいに働けないと思う。
 僕は単に漢方薬を作るだけでなく、処方箋を持ってきた人たちとも「くだらない話を」するように心がけている。さすがに漢方相談の初日はためになる話をするが、そのうち慣れた人には「だめ」になる話をする。病気は、気を巡らせて、血を巡らせて、ごみを捨てなければ治らないと思っているから、気を巡らすことにほんの少しばかり貢献しようと思っている。それにはつまらない話が最適だ。笑いがふいと漏れて、筋肉が弛緩してくれれば、僕の所に処方箋を持ってきてくれたことに価値が付く。紋切り型の応対をし、調剤報酬を得ることよりも、家や職場では得難い脱力感を味わってもらいたいと思っている。
 話はそれたがそれには結構肉体的な負担に耐えなければならない。立ち話だから。それと気を奪われないこと。この両者には、ガソリンは質が悪かろうがよかろうが満タンでないと無理なような気がする。純正では僕と言う車は走らないのではないかと思っている。
 いつか僕も病院のお得意様になる日が来るのだろうが、出来れば縁のない世界にしておきたい。だらだらと生かされる気力はないと思うので。

 

大阪にカジノはいらん!維新に突きつけられた住民の声。大阪カジノ誘致是非問う住民投票に賛同する署名が『必要数に達した』市民団体が発表!元博報堂作家本間龍さんと一月万冊 - YouTube