結果的には宣伝になるかもしれないが、面白かったので取り上げる。
日曜日の朝、いつものように何の予定もないまま朝食を食べていた。テレビをつけてはいるが、そんなに集中できる番組はない。経済番組か何かわからないが、ボールペンの会社の開発秘話みたいなものをやっていた。髪の毛の太さの何十分の一くらいのインクが流れる隙間を作ることによって、書き味がとてもよくなり、その開発に何年もかかったと言うような内容だった。出演者が何人か実際に使い心地を試していたが、当然みんな絶賛だ。そこでケチでも付けたら即失業だから当然だが。
僕は有名なくらい字が下手で、当然弘法も筆を選ばずだ。選んでも何の効果もないから、全く選ばない。あるもので書くし、書ければそれでいい。ただ、妻は違う。さすがに習字を習っていただけあって、字にはうるさいし、当然筆にもうるさくて、書き味にも敏感だ。僕がホームセンターで激安品をまとめて買ってくるから仕方なく使っているが、一本だけ書き味がいいのがあるらしい。偶然それが手元にあったから僕に渡してくれた。僕は番組で１億本売れているボールペンの名前がジェットストリームと言うのを見ていたから、敢えて刻印を見てみた。多くの方がそうであるように、ほとんど会社名か何かのサービス品の名前くらいしか書かれていないから、まさか製品名が書かれているなどは思いもよらないかもしれないが、なんと今放映された名前が刻印されていた。僕は不覚にも大きな声で「これジェットストリームじゃん、大笑いじゃん」と叫んた。狭い台所で大の大人が叫ぶほどのものではないが、まさにドンピシャだったのだ。
こんなたわいもないことで始まったその日も、たわいもない時間を重ねただけだった。
